アパレル業界は時代の変化に敏感である。みずからをたえず刷新し、消費者の変化に対応できる体制を整え続けている。ただ、筆者らの調査によると、消費者自身の購買行動は、彼らが予見するほど大きく変化していないことがわかった。本記事では、業界の常識と消費者の実際に関する、5つの意外な結果が示される。


 小売業は常に、みずからを刷新し続けている。

 小売業者は、大きく変わり続ける消費者の嗜好についていこうと競い合っている。アパレルブランドは、オンライン販売の機能にことさら重点を置いて資金を投入し、アプリやウェブサイトを補完するインタラクティブな機能を導入している。

 小売業者とメーカーは、ファストファッションのリーダーたち――新しいファッションを毎週のように発売するZara(ザラ)、H&M、Forever 21(フォーエバー21)など――に後れを取るまいと、新商品を矢継ぎ早に世に送り出している。

 だが、消費者は実のところ、このような変化を望んでいるのだろうか。また、この変化し続ける環境の中で、どのようなアプローチが成長を生み出せるのだろうか。

 メーカーの多くは、その答えを知るために、次のものを利用している。POSデータ(その多くは情報を収集する小売業者によってフィルターがかけられる)、メディアの情報(新商品に焦点を当てる傾向がある)、商品のこれまでの販売実績(過去を反映する)である。

 我々は、もっと明快で完全な全体像を把握するために、米国で衣服と靴の買い物客1500人が実際に下した決断を調査した。彼らに対し、購買のそもそもの動機、実際にたどった購買プロセス、購買後にどのように感じたかを尋ねた。

 その結果、次のことが明らかになった。小売業者は、事業の向上と成長を望むのであれば、小売業で飛び交っている噂話にとらわれず、消費者行動の特定の側面に焦点を当てる必要がある。我々の調査によれば、小売業で現在起きている革命に関する前提の多くは、実は思い違いなのだ。

 調査によって明らかになった、最も驚くべき5つの知見を以下に示そう。