FIT後の無策を糊塗する政府

太陽光バブル太陽光バブルのときは家電量販店でも住宅用太陽光発電を売り込んでいた。Photo by Toshiaki Usami

 ところが、である。政府は先日の有識者委員会で「住宅用太陽光発電が自立的な電源として発電していく役割を期待する」と発言し、投資回収もままならない現実とおよそ乖離した夢物語を目標として描いている。

 政府がFIT終了後に、住宅用太陽光発電をどう浸透・定着させるのかの“出口戦略”を真剣に考えてこなかったことの表れだろう。

 政府は再エネの主力電源化への道筋をつけるために、住宅用太陽光発電を地産地消の分散型エネルギーとして定着させることを掲げている。

 仮に、FIT終了後の住宅用太陽光発電を自家消費型へ本気でシフトさせたいならば、蓄電池やEVを導入する人向けの補助制度は欠かせないだろう。ただし、それでは政府が言うところの“自立した電源”とは言えなくなる矛盾を抱えてしまうことになる。

 つまるところ、太陽光発電の主力電源化を本気で推し進めるのか。住宅用太陽光発電でその役割を担うのか。仮にそうならば、住宅用導入を推進する新スキームを構築すべきではないのか──。日本のエネルギー戦略の根幹に関わる修正が必要なときにきている。

 本記事公開後、P.5の試算を説明した図版に関して、なぜ費用に「電気料金」を加味しているのかとのご質問を複数いただきましたので、補足します。

 

 試算を担当したファイナンシャルプランナーの横山晴美氏は、今回は「家計目線」で投資回収ができているのか、「収入」と「費用」のバランスを見て試算を行なっています。つまり、導入した場合としなかった場合の比較ではなく、実際に太陽光を導入した後の収入と支出でどれくらい儲けが出て、回収できているのかの試算です。

 その際のポイントは下記の2点になります。

 

 (1)太陽光発電を導入したことによる売電収入と光熱費負担軽減額(従来の光熱費と太陽光発電導入後の電気料金の差額)を収入として計上する。

 

 (2)一般的に、太陽光発電を導入してもそれだけでは家庭内で使用する全ての電力量を賄うことは出来ない。そのため、従来のように電力会社から電気を購入しなければならず、毎月電気料金を払うことになる。これを費用として計上する。

 

 そのため、計算式は以下のようになります。(よりわかりやすくするため、収入の式の順序と表現を変えました)

 

(収入) 売電収入+(設置前の光熱費-現在の電気料金)

(費用) 初期費用+現在の電気料金

 

 太陽光発電を導入しても依然として生じる月々の電気料金は、投資回収を遅くするコストと位置づけられ、費用として計上すべきです。

 

 一方、投資回収がどの程度進むかは、光熱費負担軽減額(設置前の光熱費-現在の電気料金)に大きく左右されます。月々の電気料金を下げることは、毎月の収入が増えることを意味します。

 

 以上のことからも、投資回収の鍵を握るのが「月々の電気料金」であることがわかります。