不動産売却の注意点
【第9回】 2018年9月26日公開(2018年9月27日更新)
バックナンバー 著者・コラム紹介
梶本幸治

不動産の仲介手数料って値切ってもいいの?
「人気のある高額物件」なら値切ってもいいが、
「不人気物件」だと、営業が手を抜く可能性も!

不動産を売却する際、仲介手数料を支払うことになりますが、値引き交渉をしてもいいということはご存知でしょうか。ちょっとした不動産の売却であれば100万円を超えることもザラなので、その気持ちも分かります。ただし安易に値切ると、失敗することもあるのです。

 不動産売却時の必要諸経費のなかで、大きなウエイトを占めるのが「不動産仲介手数料」です。

 不動産仲介手数料の金額は次のように定められています。

◆不動産仲介手数料はいくら?(消費税を除く)
 200万円以下の部分  取引額の5%以内
 200万円超400万円以下の部分  取引額の4%以内
 400万円超の部分  取引額の3%以内

 売買価格が400万円を超える場合は、上記の表では分かりにくいので、即算法として「取引額の3%+6万円(税別)」の計算式で仲介手数料の金額を算出することができます。

 つまり、取引金額が3000万円の場合、仲介手数料は103万6800円(税込)となりますので、なかなかの高額ですよね。

媒介契約書通常、手数料(約定報酬額)は成約金額×3%+消費税の上限金額を取ることが多い(実際の媒介契約書の抜粋)
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 そこで売り主としては「仲介手数料を値切れる不動産会社に売却を依頼したい」という気持ちになると思いますが、同時に「仲介手数料って値切っても良いの? 何か不利益を被ることはないの?」と疑問や心配も浮かんできます。

 今日はそんな「売却を依頼する不動産会社を決める際、仲介手数料って値切っても良いのか否か」に関して解説して参ります。

【関連記事はこちら】
>> 不動産売却の費用の相場は、売値の3~10%! 仲介手数料、印紙税、司法書士報酬、測量費、税金など、多数の項目があるので注意!

人気があり高額な物件は、値切れる可能性あり

 「解説して参ります」と申し上げましたが、今回はまず結論から申し上げます。

・仲介手数料を値切れる可能性がある場合とは、売却予定の物件が「人気があり」かつ「高額」な案件
・仲介手数料を値切ることが難しい場合とは、売却予定の物件が「人気がない」もしくは「低額」な案件

 つまり、人気のタワーマンションや、地域では有数の高級住宅地の物件を売却し、取引金額が5000万円以上になるような場合は、不動産会社も「しぶしぶ」仲介手数料の値切りに応じてくれるでしょう。

 しかし、築40年以上経過したマンションや、人口の流出が続いているエリアの物件を売却する場合や、取引金額が1000万円を切るような場合は、不動産会社は仲介手数料の値切りには応じず、「気に入らないなら、ほかの不動産会社へ行ってください」といった態度を取ることでしょう。

 一昔前なら、「仲介手数料を値切ってくるようなお客さんは相手にしない」という不動産会社がほとんどでしたが、最近は「ある程度儲けられるのなら、手数料の値引きもやむを得ない」と考える会社が増えてきたようです。

値引きせず、営業担当をうまく乗せる

 しかし、不動産会社の営業担当も人の子です。感情に左右されます。「仲介手数料を負けてくれるなら、私が所有する不動産の販売を任せてやる」といった態度では「カチン」とくることもあるでしょう。

 ここで、私が先日出くわしたお話を披露させていただきます。

 お盆前の暑い日、私が懇意にしている不動産会社の事務所へお伺いしたときのことです。

 同社の社長と情報交換を兼ねてお話をしているとき、男性営業担当者が事務所へ帰って来られました。

 Tシャツ短パン姿に空の紙袋を持ったその姿は、「クールビズ」と呼ぶにはあまりにも軽装であったため、私はその営業担当者に「どこへ行っておられたのですか?」と尋ねたのです。

 すると彼は「実は昨日、新規に物件の販売を受託させていただいたので、その物件の近隣へチラシ配りに行っていました」と、額から玉のような汗をかきながら答えてくれました。

 手に持った空の紙袋には1000部ほどのチラシが入っていたらしいのですが、そのチラシはすべてまき終わったとのこと。

 日頃の彼はどちらかというとクールな営業スタイルで知られており、こんな炎天下にTシャツ短パン姿でチラシまきをするような方ではありません。

 そこで私が「この暑い中チラシまきをするなんて、よほど営業成績が低迷して焦っているのですか?」と混ぜっ返すと、彼は笑いながらこう答えたのです。

 「梶本さん、違いますよ。営業成績はいたって好調です。実は昨日受託したこの物件ですが、実はほかの不動産会社と競合していて、その不動産会社から売り主様へは手数料値引きの提案もあったのです。しかし、売り主様は私のことを信頼して下さり、私に販売を任せてくださいました。もちろん、仲介手数料の値引きはありませんよ」

 そして、真顔に戻った彼はこう続けます。

 「手数料を値引く会社を断って、手数料値引きには応じない当社に販売を任せてくださるなんて、なんだか感動してしまいまして。この売り主様の信頼に応える為にも、1万円でも高く成約したいという気持ちになり、今日は柄にもなくチラシ配りを頑張ってしまいました。いっぱい汗もかきましたし、今夜のビールは美味いと思いますよ」

 いかがですか?

 不動産の営業といえば「お金のことばかり考えている」ように思われがちですが、意外と(?)、純粋な方も多く、お客様からの信頼に応えたいと考えているものなのです。

 今回の例に挙げた彼も、いつもは「肉体を動かすのではなく、頭を使って不動産を売る」タイプであるにも関わらず、売り主様から「仲介手数料を値引いてくれなくとも、信頼した君に任せる」と言われてしまうと、思わずTシャツ短パン姿で駆け出してしまったのです。

 逆に考えると、この売り主は「営業担当を使うのが上手い」と言えるのではないでしょうか?

「最終的な手取り」が多いかどうかが重要

 ここからは単純に損得勘定のお話をいたします。

 売り出し価格5000万円の不動産を売却した場合、仲介手数料(上限)は156万円(税別)となります。もしも、仲介手数料を半額にしてくれる不動産会社に依頼したとすると、78万円得する事になります。

 そのあと、この5000万円の売り出し価格に対し100万円の値引き要請があり、営業担当者が粘らずに値引きを安易に受け入れ、結局100万円引きで妥結してしまうと、仲介手数料半額によって得た利益はなくなってしまいます。

 具体的な数字を上げますと4900万円で成約した場合、仲介手数料は153万円。その半額なら76万5000円。売り主の手取りは4900万円-76万5000円=4823万円5000円(手数料は税別。ほかの諸費用は考慮しておりません)となります。

 しかし、営業担当者が「やる気」になって5000万円満額で成約した場合は次のようになります。

 5000万円で成約した場合の仲介手数料は153万円。売り主の手取りは5000万円-153万円=4847万円(手数料は税別。ほかの諸費用は考慮しておりません)です。

 仲介手数料(上限)を満額支払った場合でも100万円高く売れれば、23万5000円も手取りが増えることとなります。たった100万円の価格交渉でもこの違いですので、価格交渉が200万円、300万円となれば、仲介手数料(上限)を満額支払った場合の手取りはさらに増えることとなります。

 上記計算を見てお分かりいただけたと思いますが、「仲介手数料の値引きには言及せずに営業担当者のやる気を引き出し、結果として手取りを増やす」という方法も一考の余地ありと言えるのではないでしょうか。

 あなたの不動産売却に際しては「仲介手数料が安い会社は良い会社」、「仲介手数料が高い会社は悪い会社」と安易に判断されずに、その不動産会社の提案を総合的に判断し、「手取りが多くなる不動産会社」に依頼されるようおすすめいたします。

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<不動産売却の基礎編>
相場を知るために、まずは「一括査定」を活用!

 不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産会社に査定をしてもらうのがいい。

 そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を入力すれば、最大6社程度から査定してもらうことができる。不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

 ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産会社が増加している。

 「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。

 なので、一括査定で複数の不動産会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。

 以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。

■相場を知るのに、おすすめの「不動産一括査定サイト」はこちら!
◆HOME4U(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所
掲載する不動産会社数 900社 不動産一括査定サイト「HOME4U」の公式サイトはこちら
サービス開始 2001年
運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点。弱点は、提携会社数がやや少なめであること。
HOME4U公式サイトはこちら
◆イエウール(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1400社以上 不動産一括査定サイト「イエウール」の公式サイトはこちら
サービス開始 2014年
運営会社 Speee
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。
イエウール公式サイトはこちら
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
掲載する不動産会社数 1692社(2018年8月)
サービス開始 2008年
運営会社 LIFULL(東証一部)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。
LIFULL HOME'S公式サイトはこちら
◆スマイスター(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫
掲載する不動産会社数 1400社 不動産一括査定サイト「スマイスター」の公式サイトはこちら
サービス開始 2006年
運営会社 リビン・テクノロジーズ
紹介会社数 最大6社(売却6社、賃貸、買取)
【ポイント】強みは、掲載している不動産仲介会社数が多く、マンション、戸建て、土地以外の工場、倉庫、農地も取り扱いがある点。弱点は、運営会社が広告代理店で上場していないこと。
スマイスター公式サイトはこちら
◆イエイ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1000社 不動産一括査定サイト「イエイ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2007年
運営会社 セカイエ
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。
イエイ公式サイトはこちら
◆マンションナビ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション
掲載する不動産会社数 900社超、2500店舗 不動産一括査定サイト「マンションナビ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2011年
運営会社 マンションリサーチ
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取扱い物件がマンションしかない点。
マンションナビ公式サイトはこちら
Special topics pr


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