ユニバーサルな”場”と”機会”が
部門外交流の促進に役立つ

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 最近では、イノベーションを促すために、部門を越えた従業員同士の交流の場として、オフィス内にオープンスペースを設けたり、外部の人とも交わることができるコワーキングスペースなどの”場”を用意したりする企業も少なくない。

 こうしたスペースについて、齋藤主幹研究員は、「従業員のグローバル化が進む今日においては、国籍や業種、男女、年齢などを問わず、誰にとっても”居心地がいい”空間を追求するべき」と話す。

「ユニバーサルなワーキングスペースを実現するには、壁の色や光の強さなどのディテールにも配慮が必要です。例えば、欧米人は日本人と瞳の色が異なるため、日本の照明基準では明るすぎると感じる人が多く、業種別では画面を一日中見ているエンジニアも低い光量を好む傾向にあります」(齋藤主幹研究員)

 また、「空間を用意するだけでなく、多様な人たちが協働するための風土づくりとして、『どうやって従業員の交流を促すか?』というソフトの部分も合わせて考えることが大切です」と、齋藤主幹研究員はアドバイスする。

「ワークプレイス改革に先進的に取り組む企業の中には、オープンスペースを使ってビアパーティなどのイベントを定期的に催したり、従業員同士の勉強会やヨガ教室などに開放したり、と社内交流イベントを定期的に開く事例が見られます。こうした催しをサポートするのも、FM(ファシリティマネジメント)部門の重要な役割のひとつであると言えます。さらに、社員が企画提案することができれば、こうしたイベントへのモチベーションも高まり、運営側ともWin-Winの関係になります」(齋藤主幹研究員)

理想のワークプレイスへの近道は
試験的な実装と参加型の仕組みをつくること

 なお、このようなFM戦略を実行するうえでは、「じっくり考えるよりも、まずはワークプレイス改革のパイロットプランを実装し、『駄目なら変える』を繰り返すプロセスづくりが重要です」と齋藤主幹研究員は言う。

「ワークプレイスに正解はありません。だからこそ、「こうしたら働きやすくなる」「共創がしやすくなる」というアイデアがあれば、実際に試して、社員の感想やアイデアを取り入れながら進化させていく、というモデルが有効です。オープンスペースや可動式の家具を利用すれば、さまざまなレイアウトが可能になりますし、これからのニーズを取り込んでいくこともできます。30年間変わらないオフィスで働いていたのでは、働き方を変えることは難しいですし、外部の環境変化からも取り残されてしまいます。働く人が能力を発揮できるような環境づくりは、最も重要な経営課題であるともいえます」(齋藤主幹研究員) 

 理想のワークプレイス一朝一夕にできるものではない。しかし、従業員のオーガニックなコミュニケーションが活発化すれば、これまでにないイノベーションが生まれる可能性も高まるのではないだろうか。