橘玲の世界投資見聞録 2018年10月11日

宮沢賢治も訪れた旧日本領・サハリンに
統治時代の面影はかろうじて残っているのみ
[橘玲の世界投資見聞録]

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』のモチーフともいわれる樺太鉄道

 航空写真を見ればわかるように、サハリン(樺太)はほとんどが山で、南樺太の平地は海岸に面した猫の額のような場所しかない。そのなかで唯一の例外がユジノサハリンスク(豊原)一帯で、東西の山に囲まれた盆地になっている。

 ここから海に出るには、南のコルサコフ(大泊)か、北のスタロドゥブスコエ(栄浜)に行くしかない。豊原と栄浜はかつて樺太鉄道が結んでいた。

 1922年11月、最愛の妹で、家族のなかで唯一の理解者だったトシを結核で失った宮沢賢治は大きな衝撃を受けた。妹の魂が北の果てに行ったと思った賢治は翌年、当時、日本の最北端だった樺太に渡り、列車で栄浜まで来る。この浜を夜通し歩いた賢治は、その朝の風景を「オホーツク挽歌」で「海面は朝の炭酸のためにすっかり銹びた」と詠った。『銀河鉄道の夜』は、トシの魂を追って樺太鉄道を北に向かった体験がモチーフになっているともいわれる。

宮沢賢治が妹トシの魂を求めてさまよった栄浜   (Photo:ⒸInvest Com)
オホーツク海に砲塔を向けて、ソ連時代の戦車が埋められていた  (Photo:ⒸInvest Com)
牧歌的な風景のなかに錆びた戦車が並んでいる  (Photo:ⒸInvest Com)

 

 帝政ロシアの末期には、サハリンは流刑の地だった。劇作家・小説家のアントン・チェーホフは30歳のときにサハリンを旅し、その体験を『サハリン島』にまとめた。「かもめ」や「桜の園」の人気作家が詳細な調査にもとづくノンフィクションを書いていたことは、村上春樹氏が『1Q84』で紹介したとことで日本でも知られるようになった。

ユジノサハリンスクに新しくつくられたチェーホフ記念文学館  (Photo:ⒸInvest Com)
チェーホフの『サハリン島』には帝政末期の流刑囚の暮らしが生々しく描かれ、ロシアの知識人に大きなショックを与えた   (Photo:ⒸInvest Com)
文学館前のチェーホフ像    (Photo:ⒸInvest Com)

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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