この条件の下で「ユーロの害」を無毒化するためには、各国で賃金をはじめとする物価が速やかに調整されなければならないが、たとえば、ギリシャの産業が十分に競争力を持つところまでギリシャ人の賃金をスムーズに引き下げることは、社会的に難しい。

 ヨーロッパの債務問題が今後どうなるかは見通しが難いが、金融機関ないし政府が抱える不良債権が、かつての日本の不良債権処理のような意味で「処理」されたとは到底言えない。

 最終的に不良債権を処理するためには、財政資金の投入が必要になり、これを欧州中銀がファイナンスせざるを得ないように思われるが、ドイツはそれを容認しそうにない。不況の長期化が予想されるし、再び「危機」(金融システム不安)の状況に陥る可能性もある。

 なお、フランスのオランド新大統領には「バランスの取れた現実主義者」だとの評があるが、当選後、雇用対策として公務員を数万人増やすと発表したことには驚いた。

 数万人の公務員に付随する予算と仕事がどのようにものになるかにもよるが、これだけでは雇用増に対する効果は限られているし、その割に非効率が大きい。残念ながらあまり期待できそうにない、というのが当面の感想だ。

日本は緊縮財政より拡張財政を
消費税率の引き上げは早急に必要か

 フロー・ストック共に巨額の財政赤字を見ると、消費税率引き上げくらいで緊縮政策と呼ぶのは大袈裟かも知れないが、改めて日本の場合、消費税率の早急な引き上げが必要なのだろうか。

 日銀は1%の「インフレ目標」を提示したが、これはいつまでに達成されるかが曖昧で、来年度も物価上昇率は1%に達しない可能性もある。金融緩和を拡大し続けると、通貨発行益がやがては政府のものとなり、中央銀行による財政のファイナンスとなるので、いつかはインフレになるはずだが、当面、直接的には需給ギャップの存在によって物価は上がりにくい。