フランスとギリシャ、そして日本
緊縮財政に反対する国民の強い意思

 フランス大統領選の決選投票、加えてギリシャの総選挙の結果が相次いで発表された。フランスは現職のサルコジ大統領が敗れ、社会党のオランド党首が新大統領に就任した。

 ギリシャは連立政権編成の合意ができない混迷状態だ。特に、民主主義発祥の地とも言えるギリシャの状況を見ると、選挙による民主主義は時に機能不全に陥るものであることが改めてわかる。

 両国の置かれた状況はそれなりに異なるが、共通するのは、緊縮政策に反対する国民の強い意思だ。フランス語だから「緊縮政策にノン!」ということになる。

 選挙結果を受けて、我が国の株価は大幅に下落した。一方、円の為替レートは選挙結果が出る前から円高が進み、選挙後も、対米ドルで80円割れの水準に留まっている。

 率直に言って、選挙結果はほぼ事前の予想通りであり、為替市場の方が賢いようにも見えるが、大型連休で日本の株式市場が開かれていない間に、為替は海外市場で取引されていたことの差もあろう。

 一方、我が国では、参院で問責決議を受けた閣僚の去就など、不確実性を伴う問題があるが、「社会保障と税の一体改革」の法案、要は消費税率引き上げの法案が審議入りの運びとなり、こちらでも、「方向としては」増税による緊縮政策が指向されている。

 しかし、賛否は大きくはかけ離れてはいないものの、最近の世論調査では、消費税率引き上げに対する反対の方が賛成よりも多く、また、消費税率引き上げを目指す野田政権への支持率は下降トレンドを辿っている。

 フランス、ギリシャのように選挙で民意を問うなら、「緊縮にノー」が返って来そうな情勢だ。