遠藤俊英・金融庁長官Photo by Kazutoshi Sumitomo

金融庁の発足から20年。監督官庁が果たすべき役割とは何かと、自問自答する中で練り上げた新たな行政方針を基に、金融庁の思惑を読み解く。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久、竹田幸平、田上貴大、中村正毅)

地域金融

「相互不信」──。今回の行政方針によってあらためて浮き彫りになったのは、経営を監督する金融庁と地域銀行との間に横たわる根強い不信感だ。

 そもそも金融庁は、金融緩和や人口減少によって、地銀の多くが構造的な収益の悪化に直面しているにもかかわらず、「思考停止」(金融庁幹部)に陥り、持続可能なビジネスモデルを構築できていないという懸念を抱えてきた。

 事実、直近3年間の決算を見ても、本業の利益(地銀の業務のうち個人や法人への融資および保険や投資信託などの窓口販売による利益)で赤字が続く地銀が増え続けており、状況は依然厳しいままだ(図参照)。

 だからこそ、行政方針では「自らに適したビジネスモデルとは何か、真剣に検討することが重要」という一文をわざわざ盛り込んでいる。