年金Photo:PIXTA

 前回10月11付けコラム「『65歳からの年金支給開始』を続けるのが到底不可能な理由」は、経済全体の人口動向から、年金財政の将来についておおよその見通しを示した。

 以下では、サラリーマンが加入する厚生年金についての具体的な将来像を示そう。

 財政検証は、物価や実質賃金の上昇率を高く仮定することによって、問題が生じないように見せかけている。しかし、実際にはそれが実現できないため、支給開始年齢の引き上げが不可避になるのだ。

受給者対被保険者の比率は悪化するが、
財政検証は問題なしとする

 厚生年金の受給者と被保険者(保険料支払者)の比率は、今後、どう変わるのかを見てみよう。

 受給者1人あたり被保険者は、2015年度には2.2人だが、40年度には1.7人に、60年度には1.3人に減少する(図表1)。これは、前回述べた社会全体の姿とほぼ同じだ。