動画配信プラットフォーム5Gになれば今以上にストレスなく、スマホで高画質な映像コンテンツを楽しむことができる Photo by Yasuo Katatae

テクノロジーの進化でさらなる激変期に突入したメディア業界の最前線を追う本連載。第3回では、『週刊ダイヤモンド』10月27日号の特集「メディアの新序列」で、大手新聞社から新興ウェブメディアまで、あらゆるメディアが動画事業へ参入していることを報じた記事を特別公開します。
(週刊ダイヤモンド編集部 片田江康男)

 「民放はネットフリックスに駆逐されてしまうのではないか」──。そんな懸念の声が業界内から聞こえてきたのは、2015年9月、世界最大の定額動画配信事業者である米ネットフリックスが日本に上陸したときのことだ。ネットフリックスでは莫大な視聴データを分析し、その人が好むであろう映画や番組をお勧めしてくれる。当然、テレビにはそういった心地よさはない。そんな未知の視聴体験に日本の視聴者は衝撃を受けたのだ。

 しかし、それから3年たった今、日本の動画配信市場は当時、誰も予想しなかった展開を見せている。

 何よりまず、民放各局がネットフリックスなどの海外勢に駆逐されることはなかった。

 逆に定額配信プラットフォームとして国内民放最大手のFOD(フジテレビ系)は、約80万人の有料会員を獲得。事業単位で黒字を達成している。

 スマートフォンのアプリストアのデータを集計する、独プライオリデータ社の18年9月13日~10月12日における月間アクティブユーザー数(〈MAU〉日本国内、アップストアとグーグルストアの合計数)は、ネットフリックス292万人、FOD263万人。駆逐されるどころか互角に渡り合っているのだ。

 また民放5局が異例のタッグを組み、15年10月に見逃し配信プラットフォーム「TVer」のサービスをスタートさせた。普段は視聴率で競い合う民放同士が海外勢に対抗するため、初めて足並みをそろえた格好だ。