2005年に設立された自民党の外国人材交流推進議員連盟(2016年に解散当時は国際人材議員連盟)は、元法務官僚で外国人政策研究所の坂中英徳氏らをブレーンとして積極的な移民促進政策を検討し、2008年6月、人口減少に対処するため、今後50年間での1000万人の移民受け入れ、永住許可要件の大幅緩和、移民庁の設置などを提言した。

 2014年2月に内閣府が発表した「目指すべき日本の未来の姿について」では、毎年、移民20万人を受け入れるべきことが示唆され、安倍政権はこの方向に進んでいくかに見えた。

 移民受け入れは、安い労働力確保で規制緩和を求める財界のニーズに合致している。

 しかし内閣府の発表以降、保守派の間から、移民の大幅な増加は文化摩擦をもたらし、国民国家をベースとした一体感を破壊するとして、反対する声が出るようになった。

 TPP締結もそうだが、安倍政権はグローバル化に対応した改革を求める新自由主義派+経済界と、「美しい国日本」を守っていこうとする文化的保守派の双方を支持基盤にしているので、両者の利害が正面からぶつかるような政策では、明確な態度を取れないことが多い。

 ちょうど2014年は、ヨーロッパで、過激な反移民政策を掲げるフランスの国民戦線(FN)やドイツの「ドイツのための選択肢(AfD)」など、ポピュリズム政党が台頭し、政権を担ってきた伝統的な保守の票を大きく食うようになった時期だったこともある。

 人口の1割近くを移民が占めるドイツやフランスに比べると、日本は移民の数がまだ少ないこともあって、排外主義的な右派の勢力はまだそれほど大きくない。

 だが本当に毎年、20万人規模で増やしていけば、国民に移民と共存することへの“免疫”が十分できているとはいえないだけに、排外主義が一気に拡大する恐れもないではない。

「使い捨て」は国際問題に
保守もリベラルも割れる

「高度専門職」と「特定技能」を線引きし、本格的な「移民政策」に踏み切ったわけではないと強調することで、政府はバランスを取ろうとしているようだ。

 だがその思惑通りにうまくのかどうか。