経営×ソーシャル
識者に聞く ソーシャルメディア進化論
2018年11月13日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

「ちがいを ちからに」渋谷区が多様性を本気で推進し、クリエイティブシティを目指す理由

【長谷部健氏×武田隆氏対談1】

渋谷区では2015年の11月、全国で初めて、同性カップルも結婚に相当する関係と認める「同性パートナーシップ証明書」の交付を始めた。このようにあらゆる多様性を受け入れ、多様性をエネルギーに変えていく取り組みを次々と実現しているのが、渋谷区長の長谷部健氏だ。広告代理店を退職後、全国規模でまちをきれいにする運動を展開するNPO法人グリーンバードを設立し、渋谷区議を経て区長となった長谷部氏。渋谷が多能性にあふれたクリエイティブな街であり続けるために策定された「基本構想」、そしてその背景にある考えについて長谷部氏に聞いた。

渋谷区生まれ、渋谷区育ちの渋谷区長

長谷部健(はせべ・けん)
1972年渋谷区神宮前生まれ。3児の父。株式会社博報堂退社後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを設立。原宿・表参道を中心に全国60ヶ所以上でゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を実施。2003年4月に渋谷区議に初当選以降、3期連続トップ当選。同性パートナーシップ証明書を全国で初めて発行する条例成立などに従事。2015年、渋谷区長選挙に無所属で立候補し、当選、現職

武田隆(以下、武田) 今回は、東京・渋谷区の長谷部健区長にお話をうかがいます。プロフィールを拝見すると、区長は、生まれも育ちも渋谷区でいらっしゃるんですね。

長谷部健(以下、長谷部) そうなんです。原宿で生まれまして、小学校、中学校も原宿でした。

武田 大学卒業後は広告代理店に入社され、退職後にNPO法人グリーンバードを設立されたと存じております。

長谷部 グリーンバードは、ゴミ拾いボランティアのNPOです。原宿表参道から始まって、全国60箇所以上でゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を実施しました。

武田 2003年からは、渋谷区議を3期12年務められ、2015年に渋谷区長に就任されました。渋谷区では、日本の行政として初の「同性パートナーシップ証明書」を発行したり、民間企業・大学などと協働して課題解決を図る試み「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定」を創設したりと、地方行政の先進的な取り組みを牽引していらっしゃいますね。

長谷部 ありがとうございます。

武田 今回、ぜひ区長にお会いしたいと思ったのは、渋谷区が「クリエイティブシティ」を標榜されていると聞いたからです。私達が海外支局を置いているドイツ・ベルリンも、クリエイティブシティとしてよく知られています。

長谷部 ベルリンにオフィスがあるんですか! 私も10年以上前ですが、行ったことがあります。

武田 そうなんですね。渋谷とベルリンは、知れば知るほど、共通点が多いと感じます。今日はそうしたクリエイティブシティである渋谷にとって、クリエイティビティやダイバーシティがどのように街の活性をドライブしているのか、といったお話をおうかがいしたいと思っています。

長谷部 よろしくお願いします。武田さんは、渋谷はお詳しいんですか?

武田 私は22年前、学生時代にベンチャーを創業しました。その創業の地は渋谷区・代官山のマンションの一室だったんです。ですので渋谷には思い入れがあります。仕事を離れたところでも、若い頃は渋谷でよく遊んでいて、イベントオーガナイザーの友達に頼まれフライヤーをデザインしたりと、渋谷のクラブカルチャーからは多くの刺激を受けてきました。

長谷部 そうだったんですか。今、会社はどちらにあるんですか?

武田 今のオフィスは港区・三田なんです。

長谷部 それは残念。渋谷はITベンチャーも多いので、オフィス移転をお考えの際はぜひ、また渋谷区へいらしてください(笑)。

武田 はい、いずれ渋谷に戻ってきたいと思っています。区長は、大学を卒業されてから博報堂に勤められていたんですよね。その経験が、いまの仕事に活きていると思われることはありますか?

長谷部 ありますね。渋谷区の区議会議員だったときは、渋谷区の住民の皆様をクライアントと考えて活動していました。マーケティング発想で、何が世の中に受け入れられるか、この先の社会はどうなっていくか、といった事を考えるやり方は、博報堂での仕事から学びましたね。



武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


識者に聞く ソーシャルメディア進化論

史上最も多くの人々がつながり合った今、私たちを取り巻く社会はどう変化していくのか? NTTドコモ、セブン&アイ、資⽣堂ジャパン、ライオン、森永乳業をはじめ300社超のマーケティングを支援してきたクオン代表 武田隆氏が、各分野の有識者とともに変わりゆくインターネット時代の未来を読む。

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