世界同時株安2018年は2月と10月に、世界同時株安が発生しています Photo:PIXTA

 皆さん、こんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。

 さて、10月の世界の株式市場は、大統領選挙で市場の期待通りの候補者が勝利したブラジルを除いて、全面安となりました。米長期金利の上昇を嫌気し、割高感が意識されたハイテク株を中心に米国株が急落すると、投資家のリスク回避姿勢が強まり、世界的に株安が広がりました。10月の主要市場の株価指数の騰落率は、NYダウが▲5.1%、日経平均株価が▲9.1%、独DAX30が▲6.5%、英FT100が▲5.1%、上海総合指数が▲7.8%と、軒並み大幅安でした。

 しかし、11月に入ると、世界の株式市場は米中貿易摩擦の緩和期待などから反発に転じました。その後、注目された11月6日の米中間選挙では市場の予想通り、下院で民主党が多数党に返り咲く結果となり、懸念材料が出尽くしとなったことで、世界の株式市場はリスクオン(選好)の地合いとなり、大幅に続伸しました。

 株式市場の変動率が高まるなか、今後も10月のように世界的な株式市場の動揺は繰り返されるのでしょうか?今回は、10月の世界株安の背景と米中間選挙の結果を踏まえて、株式市場の今後のポイントについて考えてみます。

10月の世界同時株安は今年2回目、
1回目は2月の「VIXショック」

 10月に起きた大幅な世界同時株安は、今年に入って2度目のことです。1度目は今年2月で、「VIX(指数)ショック」とも言われています。VIX指数とは、株価の変動性の予想を示す指数で、上昇すれば相場の変動に対する市場の警戒度が高く、下落すれば低いとされ、「恐怖指数」とも呼ばれる、市場心理を表す指標です。ヘッジファンドを含め一部クォンツ系(リターンの変動(ボラティリティ)を一定に保つように投資するボラティリティ・ターゲッティング戦略)のファンドなどがVIX指数を利用して株式を運用しています。

 2月の「VIXショック」の際は、1月分米雇用統計で、時間当たり賃金が予想を上回る伸びを示したことなどから、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースが加速するとの見方が強まり、米長期金利が大幅に上昇したことが、株価急落の要因となりました。多くのクォンツ系ファンドは、VIX指数の急上昇で急激にロスカットを強いられ、短期間に株式のリスク圧縮に動き、株価の変動を加速させたといわれています。