住宅宿泊事業法、いわゆる「民泊新法」が施行され、民泊業界は変換期を迎えた。だが、それ以前に目を向けると、宿泊施設の定義づけがなかったばかりか、宿泊事業に関する自治体の条例も少なく、事業者の事前登録や管理者の届出も曖昧だった。

セキュリティー無視のキーボックス運営で
無人スタジオは犯罪の温床に

 また、防火や防音に対する意識は低く、鍵を共有フロアや家の前に置いた箱などに隠して置いておくなど、セキュリティーを無視した“キーボックス運営”が横行、街にはヤミ民泊があふれていた。

 法整備に至った背景には、こうした問題が数え切れないほど起きていたことがあるのだが、その問題はそっくりそのままハウススタジオの運営にも当てはまるのだ。

 とりわけ、キーボックス運営の問題点は、近隣住民に不安を与えている。冒頭の女性は言う。

「昼夜を問わず、関係者と思われる人たちがキーボックスから鍵を取り出し、室内に出入りをしています。あのシステムって、部屋を貸す側も借りる側もお互いラクだと思うのですが、ハッキリ言って誰が出入りしようが関係なく、貸す側は現場で何が起きているかを把握しようとする意識がないのでは。それって管理意識の低くさともとれるし……」といぶかしげに言う。

 しかも、ハウススタジオの運営会社がスタッフを現場に派遣し、適正な運営が行われているか立ち会った上で監督するのが通常。しかし、スタッフの派遣には人件費がかかるため、中には誰も派遣せず、利用者に任せっぱなしにしている“悪徳運営会社”もあるのだ。

 というのも、ハウススタジオの運営にかかるコストは、家主に払う使用料と人件費が主なもの。そこで悪徳運営者は、スタッフを派遣しないことでコストを削減し、3割程度安い料金でスタジオを提供しているわけだ。

 こうした“無人スタジオ”の情報はAVメーカー間でも共有されており、制作費を安く済ませるため制作会社に使用するように指示するため、制作会社は従わざるを得ない。こうした悪循環によって、AV界ではいつの間にか無人スタジオがよしとされるようになり、トラブルが跡を絶たないという状況に陥ってしまっているわけだ。

 無人だから、誰が出入りしているのかはもちろん、中で何が行われているかも把握できないのが実態だ。そもそもハウススタジオの運営システムとして、ネット上で予約し料金を事前に振り込めば、相手と顔を合わせず部屋を借りられる。そんな「フェース・トゥ・フェース」ではない運営方法は、コストを抑えることができる半面、責任の所在を曖昧にし、借り手側の“匿名性”も高めてしまう。