入管法改正案には慎重論も多い写真はイメージです Photo:PIXTA

安倍政権が成立目指す
“入管法改正案”

 今の臨時国会において、安倍政権は出入国管理法改正案(入管法改正案)の成立を目指している。この法案は、基本的に外国人労働者の受け入れ拡大を目指したものだ。

 わが国では、少子高齢化および人口減少がかなりのペースで進んでいる。生産年齢人口が減少すると同時に、人口が減少する状況が続くと、経済が縮小均衡に向かう可能性が高まる。これを回避するための対策の1つとして、日本での就労・生活を希望する外国人を増やす必要がある。入管法を改正し、移民の受け入れ態勢強化を目指すこと自体は、重要かつ必要な取り組みといえる。

 問題は、政府が野党をはじめ、より多くの納得感を得られるように法案を審議しているか否かだ。現状を見る限り、政府の審議姿勢は多くの反発を呼んでいる。

 それは、今後の移民政策の運営に禍根を残す恐れがある。四方を海に囲まれたわが国では、どちらかといえば海外からの移住者の増加に対して慎重な意見が多いと考えられる。

 地方では、外国人の増加によって犯罪が増えるのではないかといった漠然とした不安も多いようだ。政府はそうした不安などを解消するために、時間をかけて、丁寧に、外国人労働者の受け入れを拡大することの意義を国民に伝えるべきだ。

外国人労働者に関する
わが国の発想

 長らくわが国は、潜在成長率(経済の実力)を高めるため、海外から労働者を受け入れることを真剣には議論してこなかった。