ウルトラCなければ計画実行は困難

 原発計画をめぐっては日立社内でも慎重論が根強い。社外取締役を中心に、「(国の原発輸出の方針とは別に)企業として経済合理性で判断すべき」との意見が取締役会ごとに出ていたという。最近は、「『取締役から慎重な意見が出ているのに建設に踏み切ればガバナンスが問われる』との声が資本市場から強まっていた」(中堅幹部)。

 日立は2019年に計画実行の可否を最終判断する予定だ。計画から撤退した場合の損失は2700億円程度の見通しだが、判断が遅れればランニングコストが上乗せされる。原発計画のどっち付かずの状況が日立株価の下押し材料になっていると見られることから一般論からすれば早期決着が望ましいと言える。

 しかし、「3月までに撤退の判断を下すのは難しそうだ。今期は過去2回未達に終わった中期経営計画の目標を初めて達成できる年だからだ」(別の中堅幹部)。英原発事業で特別損失を計上すれば、超過達成を見込んでいた当期利益の過半が吹き飛ぶことになる。

 だが、現状は厳しい。オフバランス化の難しさを物語るのが英国で先行する別の原発計画の顛末だ。市場価格の2倍の買電価格が設定されたにもかかわらず資金調達に苦労し、最終的に中国企業が出資して政治問題化した。

 日立は今後もホライズンへの出資者を探すが、国の支援拡充などウルトラCがなければ計画実行は難しそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)