人もカネも掛けずに生産量を2.5倍にした三井E&S「工場革新」の中身三井E&Sマシナリー(旧三井造船)の大分工場

かつて生産性ナンバーワンだった日本の製造業を中心とする企業が、なぜ世界の後塵を拝するようになってしまったのか。DOL特集『ルポ 闘う職場~働き方改革では生産性は上がらない』では、日本企業を覆う「仕事力損壊」の実態を浮き彫りにしつつ、そこからの脱却を目指す企業人たちの悪戦苦闘のドラマをリポートしていく。3回目は前回に引き続き、4年間で生産性を2.5倍にした三井E&Sマシナリー(旧三井造船)大分工場の「工場革新」を追った。(ライター 根本直樹)

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やらされ感がいっぱいで
仕掛品と不要物にあふれた現場

 別府湾に臨む広大な屋外ヤードには、今まさに建造中の高さ70メートル、総重量1300トンにもなる巨大な運搬機(コンテナクレーン)がずらりと並ぶ。背後には複数の工場建屋が立ち並び、中では作業員たちがきびきびと規則正しく動いている。建屋内やその周囲はとても清潔で整理整頓されており、素人目にも高いレベルで管理された工場であることが見て取れた。

 辻省悟工作課長(51歳・現大分工場海外生産推進室長)は工場を眺めながら、しみじみと語った。