中国 2018年12月10日

メニューもスマホ、現金が使えないお店が急増!
中国で見えてくるキャッシュレス社会の落とし穴海外投資の歩き方-中国の事情

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2006年に中国に移住し、蘇州、北京、広州、その後上海に約8年在住。情報誌の編集長を経て現在はフリーランスとして活躍する大橋さん。急速に広がっている中国のキャッシュレス社会は、どこまで進むのか――。中国の今をレポートします。

 経済産業省が「キャッシュレスビジョン」を策定し、ソフトバンクとヤフーが合弁で決済サービス「PayPay」を開始するなど、ここにきてにわかにキャッシュレス化推進の機運が高まっている日本だが、使える場所はまだまだ限定的であり、その道のりは遠い。

 キャッシュレス先進国の中国に滞在すると、あらゆる場所で利用できるスマートフォン(スマホ)によるモバイル決済は快適で、ある種の中毒性すらある。

 中国の紙幣は100元(約1650円)札が最高であるため、ある程度の金額を持ち歩こうとすると財布がパンパンになってしまう。しかも、タクシーなどの少額の支払いで100元札を出そうものなら、嫌な顔をされることもしばしば。モバイル決済は、そうした煩わしさを解決してくれる。しかし、便利さの影には落とし穴もある。

交通系ICカードに現金チャージができない上海の地下鉄

 先日、妻が上海でコンタクトレンズを買うために、商業施設内のメガネ屋に入った。その店はチェーン店であり、それなりの規模の店舗である。購入する商品が決まり、いざ会計をしようと妻が財布を取り出すと、店員が言った。

 「お釣りがないので、現金は受け取れません。スマホで払ってください」

 納得のいかない妻は抗議したが、店員は譲らない。その辺の屋台やタクシーで釣銭がないことはよくあるが、チェーン展開をしている店が釣銭を用意していないというのは経験がないことである。

 これは極端な例だが、麺屋などの小規模店舗であっても、スマホでの支払いを求められることがたまにある。

 現金が使えない場面に遭遇するのは、店舗だけではない。先日、日本から来た知人が交通系ICカードにチャージをしようと地下鉄駅の窓口に行ったところ、現金でのチャージはできないと断られてしまったというのだ。設置されている機械でチャージするよう言われたが、驚くことに、そこでも現金を使用できない。

 デビットカード機能が付帯された銀聯カードや、アリババ集団の決済サービス「支付宝(アリペイ)」などの電子決済サービスからでないとチャージできないのだ。すべての駅がそうであるわけではないのかもしれないが、その駅は上海の中心部にあった。

 上海に長期滞在していた日本人が約25年前に上海に赴任した際、「銀行は信用できない」と銀行口座を持っていない中国人社員がいて驚いたと話していたが、現代では、あたかも現金が信用されていないかのようである。

 余談だが、確かに昔はよく偽札をつかまされたものだ。おかげで手触りだけでそれを見破れるようになったが、いつしか偽札を見なくなり、その技術が活躍する機会はすっかりなくなってしまった。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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