つまり、公共の場でのオナラに対しては、偉大なる儀礼的な無関心を発動するべきなのだ。人は誰だってオナラをする。そして、わたしたち自身もオナラをしてしまう。それをわざわざ顕在化させて議論の俎上に載せるのは、無粋な行為だと思う。駅の構内のトイレで出会った男性の紳士的な対応に、筆者がモヤモヤしたのはそういう理由からなのだろう。

恋人がオナラをしたとき、あなたはどうする?

 では、恋愛などのシチュエーションでは、どうだろうか。恋人や配偶者の前でオナラをすることを、恥ずかしいと思う人も多いだろう。それがまだ交際前の段階ならなおさらだ。

 ある女性からこんな話を聞いたことがある。まだ付き合い始めて間もない頃、はじめて彼氏の家に行った。そこで便意をもよおし、彼女は「ちょっとトイレを借りるね」と言って部屋を出ようとしたという。しかし、悲劇が起こった。緊張からなのか彼女は床で滑って盛大に尻餅をついてしまい、弾みで「ぷぅー」とオナラを出してしまったというのだ。

 みるみるうちに顔が青ざめていく彼女。もう嫌われるかもしれない、と絶望した。ところが、付き合いたてのその彼氏は「可愛い音だったね」と笑って、場を和ませてくれたという。

 何度もいうが、人はオナラをする。それは仕方ないことだ。なるべく人の前でするのは避けたいが、彼女のように思わず出てしまう場合もあるし、我慢しすぎるのも体に悪い。ましてや、恋人同士である。この先、長く付き合っていきたいという誠実さがあれば、「いつかは絶対にしてしまうオナラ」をとがめ、汚いものとして扱うのはよろしくない態度だ。

 むしろ、どんなに気をつけていても、いつかはしてしまうものなのだから、相手のことを思うならば、自分から率先してオナラをしてあげるのが、優しい大人の態度なのかもしれない。むやみやたらにオナラをするのはどうかと思うものの、たとえオナラをしてしまっても笑いあえるような仲でなければ、交際も長く続かないと思うのだが、どうだろうか。