映画で大こけし4000万の借金抱えた46歳映画プロデューサー写真はイメージです Photo:PIXTA

格差や貧困問題の是正が放置されているうちに、「アンダークラス」が900万人を突破、日本は「階級社会」への道を突き進んでいる。中でも「中間階級」が崩壊、新たな貧困層が生まれてきた。それは、どん底一歩手前の「マイルド貧困」とも呼べる新たな階級だ。そこでDOL特集「『マイルド貧困』の絶望」第15回は、映画で大赤字を出してしまった後にこつぜんと姿を消した、新進気鋭の映画プロデューサーの軌跡を追った。(ライター 根本直樹)

暴力団に拉致されたとの噂まで
映画の失敗で莫大な借金を背負う

 かつて新進気鋭の映画プロデューサーとして活躍していた川村亮太(仮名・46歳)が業界からこつぜんと姿を消したのは、今から10年ほど前のことだった。

 関係者の間でさまざまな噂が飛び交った。「暴力団に拉致された」「フィリピンに逃げている」「マグロ漁船に乗っている」など、荒唐無稽に思える説も流れたが、もともと魑魅魍魎がうごめくヤクザな職場。何が起きても不思議ではないのが、映画の世界なのだ。