そこで、長期金利の決まり方を見ていこう。 

 今後5年間、短期国債を買い続けた場合に受け取れる金利は、今後5年間に予想される「短期金利の平均」だ。それが長期金利より高ければ、誰も長期国債を買わないだろうし、低ければ皆が長期国債を買うだろうから、両者が一致する水準で長期金利が決まるはずだ。これが、長期金利の最も基本的な決まり方だ。

 なお、現在の日本のように、「日銀が必ず買ってくれるだろう」と期待して投資家が長期国債を買っているのは例外だから、本稿では考えないこととする。

 ちなみに、「通常、イールドカーブ右肩上がりだから、長期金利の方が高くなる力が働いているはずだ」とはいえるので、上記を微修正し、長期金利は「予想短期金利の平均+α」となる。

 そう考えると、2年物金利が長期金利を上回るというのは、市場参加者が「今後2年間の短期金利の平均は、今後5年間の平均より高いだろう」と予想しているということだ。

「過去もそうだったから」と
短絡的に考えてはいけない

 市場関係者からは、「過去の長短金利逆転時は、遠からず景気が後退したのだから、今回もそうなるのではないか」との発言も聞かれるが、因果関係を慎重に考えたい。

 例えば、過去の石油ショック時には物価が高騰し、インフレ抑制のためにFRB(連邦準備制度理事会)が金融を引き締めて短期金利を上昇させた。こうした場合、長期金利は短期金利ほどは上昇しないので、長短金利は逆転しやすい。そして同時に金融引き締めは景気後退をもたらしやすい。

 したがって、現象だけを見ると「長短金利が逆転してからしばらくして景気が後退した」ことになるが、因果関係的には「石油ショックに伴うインフレが“親”、長短金利逆転と景気後退が“子”」であって、両者は“兄弟”だから似ているにすぎない。