ポンドとユーロ12月11日、離脱案を巡る英議会の混乱により、ポンドとユーロの1ヵ月物インプライドボラティリティー(予想変動率)スプレッドが、英EU離脱の是非を問う国民投票が実施された2016年6月以来の大きさとなっている。写真はポンドとユーロ。2016年3月撮影(2018年 ロイター/Phil Noble/Illustration)

[ロンドン 11日 ロイター] - ポンドを取引するトレーダーは今年、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る報道に振り回されてきた。直近では、離脱案を巡る英議会の混乱により、ポンドとユーロの1ヵ月物インプライドボラティリティー(予想変動率)スプレッドが、ブレグジット(英のEU離脱)の是非を問う国民投票が実施された2016年6月以来の大きさとなっている。

 11日には、メイ首相の与党・保守党党首としての信任投票実施に必要な議員の書簡が十分に集まったとの報道を受け、ポンド/ドルは一時1年8ヵ月ぶりの安値となる1.25ドルに下落した。

 ポンド/ドルはこの日の高値からの下落率が1%を超え、主要通貨としてはかなり急激な振れになった。ところが10日はもっとひどく、日中の変動率は2%と、トルコリラやインドルピーなど並みに不安定化していた。

 コメルツ銀行の外国為替ストラテジスト、ウルリッヒ・ロイヒトマナン氏は「今年に入ってゆっくりと上昇してきた(ポンドの)ボラティリティーが、ここにきて急に跳ね上がった。一部のトレーダーには奇妙に思えるかもしれないが、この通貨は現在、極めて慎重に取り扱う必要がある。ポンドのボラティリティーは100年間の眠りから覚醒したのだ」と述べた。

 ポンドの3ヵ月物ボラティリティーは現在、16年6月以来の高水準となる15%で推移。同ボラティリティーは、最も変動が激しい新興国通貨であるトルコリラでは20%となっている。

 ポンドのボラティリティー急上昇は、メイ氏が離脱案の議会採決を延期したことでもたらされた。合意なき離脱や国民投票の再実施、メイ氏とEU首脳の再交渉など、さまざまな可能性が浮上したためだ。

 先行き不透明な状況が長期化し、投資家は通貨デリバティブ市場の積極的な活用に動いている。

 ブレグジットを巡る交渉が合意に至る何らかのシグナルが示されれば、ポンドの予想変動率の急低下につながる可能性がある。その場合、仕組み商品を売ってきたトレーダーはもうけが得られる。

 大手銀行のトレーダーは「プットスプレッドと呼ばれる取引が大量に売買されており、ボラティリティーの水準が少しでも低下すれば、オプションの売り手側が利益を獲得する引き金となり得る」と話した。

Copyright©2018 Thomson Reuters 無断転載を禁じます