コストだけでパッシブ・ファンドを選んではいけない理由Photo:PIXTA

 つみたてNISAが始まり、政府がそのコア商品としてパッシブ・ファンド(インデックス・ファンドとも言う)を推奨して以降、パッシブ・ファンドの存在感が高まっています。パッシブ・ファンドは指数(例:日経平均株価など)に連動するだけですから、極めてシンプルで低コストな運用です。

 2018年7月20日現在、つみたてNISAに登録されている投資信託(以下、投信)は、パッシブ・ファンドが135本、指数を上回ることを目指すアクティブ・ファンドが17本と、実際、圧倒的にパッシブ・ファンドが多くなっています。もちろん、手数料が安いことは投資家にとって望ましいのですが、それだけでパッシブ・ファンドを選んでしまってもよいのでしょうか?

 今回は、コストだけでパッシブ・ファンドを選んではいけない理由について解説します。

理由1:今後はリターンを獲得するのが非常に難しい市場環境

 135本のパッシブ・ファンドのうち、バランス型ファンドが63本と最も多く、バランス型ファンドがつみたてNISAの主役となっていることがうかがえます。このような各資産のパッシブ・ファンドから構成されるバランス型ファンドも低コストなのですが、それだけで選んでもよいのでしょうか?

 ご存知の通り、2010年代は金利低下の時代であり、債券に追い風が吹いていました。なぜなら、債券にとっては金利が低下することは価格の上昇を意味しており、債券投資家にとっては低リスクで高いリターンを獲得できた特殊な時期でした。しかし、現在の金利水準は日欧ではゼロに近い水準であり、今後は大きなリターンが期待できません。しかも、アメリカですでに起こっているような金利上昇が日本や欧州でも起こると予想され、日欧の債券価格は下落します。実際、足元の日本の10年国債の利回りは0・1%程度と極めて低くなっています。つまり、債券への配分比率が高いパッシブのバランス型ファンドでは、少なくとも当面はリターン面で苦戦することが予想されるのです。コストが安いからといって、このようなパッシブ・ファンドに投資することが賢明な投資と言えるのか、今一度、考える必要があるのではないでしょうか?