また、貿易を含む米中摩擦懸念で資金の逃避先となりやすかったことも、ドル高の要因だ。

 次いで強かったのは円だ。ドル/円が注目を集めがちだが、実は、ドル以外の通貨に対しては今年、軒並み円高になっている。対ユーロで約4%強、対ポンドで約6%強の円高が年初来で進行。リスク回避の際の「逃避買い」は以前ほどは目立たなくなったものの、対ドル以外ではしっかり需要を集めている。

流れをつかんだ個人投資家

 プロが苦戦を強いられる狭いレンジ相場の中で、目立ったのは絶妙な個人の逆張りだ。

 ドル/円が104.56円の年初来安値をつけた3月にかけて、個人は年始からドル買いを活発化。金融先物取引業協会の集計によると、店頭FX(外国為替証拠金取引)53社を通じた買い建て額は、2月に円換算で過去最大級の3兆円超へ膨らみ、差し引きでも遡及可能な2008年11月以降で4番目の買い越し幅を記録した。

 4月以降、ドル/円は上昇に転じ、10月に年初来高値114.55円をつけた。下値での個人のドル買い戦略が成功した相場展開となった。

 しかし、9月に入ると、個人投資家はドル売りに転じる。

 利上げを始めた米国のドルと、大規模緩和中の円の取引は、金利差からドル買い/円売りに傾くのが定石。しかし9月の持ち高は、差し引きで約2年ぶりにドル売り/円買いへ転じ、その規模も過去最大に膨らんだ。

 ドル/円は10月4日に年初来高値114.55円をつけた後、月後半にかけて111円台まで3円下落。個人は小幅ながら再び買い越しへ転じ、利益を確定した。

 あるFX会社の幹部は「9月の大規模な個人の売りは、各社で幅広く見られた。逆張りスタンスは相変わらずと言ってしまえばそれまでだが、勘だけではなく、うまく流れをつかめるようになってきた」と話す。