木谷が選んだビジネスは、ブロッコリーでも手がけていたカードゲームの販売だった。

 カードゲームとは、属性や強弱が設定されたキャラクターが描かれたカードを使い、対戦するゲームのこと。カード5枚が入った1パックが158円などで売られていて、そのカードを集めて、ゲームに臨む。

 小学生から大人までと、幅広い層に人気で、日本のカードゲーム市場は、06年の388億円から、11年には961億円へと急拡大している。

 しかし、カードゲーム市場にはコナミデジタルエンタテイメントの「遊戯王」や、タカラトミーの「デュエル・マスターズ」など、大手企業の商品が既に存在していた。

 木谷がその一角に割って入ることができた秘訣は、「カードゲームはインフラ産業の側面を強く持っている」ことに気付いたところにある。

わが社はこれで勝負!
看板商品である「カードファイト!!ヴァンガード」や「ヴァイスシュヴァルツ」。カードのデザインやゲーム性も魅力だが、カードゲーム会場をサポートし、インフラ整備にも力を入れる。ソーシャルゲームにも参入する

 カードゲームは、コンピュータゲームと違って、面と向かっての対戦相手が必要になる。全国に800カ所以上のカードゲームができる小売店があるのはそのためだ。

 ブシロードが関係するものだけでも毎月1万2000回近くも大会が全国で開催されているが、同社では開催をきめ細かくサポートしている。

 社員が小売店まで出向き、講習会を開催することもあれば、事前の告知、備品の準備、ゲーム内容の表示まで、カードの製作だけでなく、大会が盛り上がるような遊べる環境づくりにも腐心しているのだ。

 自動車を製造しても道路がなければ普及しないように、カードというコンテンツと並行して、インフラたるゲーム会場の整備が重要なのだ。

 むろん会場の整備だけでなく、デザインやゲームのルール設計の質が高いことも人気のゆえんだ。ブロッコリー時代からカードゲームを手がけてきただけに、開発会社とのパイプが太く、社内にも開発陣を擁している。