「米中双方が経済貿易の分野で、いくぶんの意見や立場の相違が存在するのは完全に正常なことである。大切なのは相互に尊重し、平等で互恵的な精神にのっとって適切に摩擦を管理すること、その上で、双方が共に受け入れられる解決の方法を探し当てることである」

 習近平は会談でトランプ大統領に対してこう切り出し、「新たなラウンドの改革開放プロセス、および国内市場と人民の需要に基づいて市場を開放し、輸入を拡大し、中米経済貿易関連の問題の緩和に尽力していきたい」と寄り添った。

 中国外交部のプレスリリースには、習近平がトランプや同政権を批判、牽制する内容は見られず、かつ両首脳が満面の笑みで楽しそうに握手をしている写真が使われていた。

 筆者から見て、この事実こそが、中国側が対中関係を改善させたい立場を米国側、中国国内、そして国際社会に対して訴えたいと現段階で考えている状況証拠である。「良好な中米関係は両国人民の根本的な利益に符合するし、国際社会の普遍的期待でもある」(習近平)。

 同リリースが、トランプが習近平に対して「米国は中国の学生が米国に留学に来るのを歓迎する」と語ったことを記載していた事実も、中国当局として貿易戦争が勃発して以来、米国への留学を不安視する自国の若者やその家族をなだめるべく奔走している現状が見受けられるのである。

中国側の前向きなコメントは
焦燥感がにじみ出ている

 今回の会談を経て、米中両首脳はいったん課税の応酬を棚上げすることで合意し、米国側は90日間の“猶予”を中国側に与えることを通達した。

 中国側はこの間に農産物やエネルギーといった分野で米国からの輸入を拡大するなどして、3月1日に第3弾(2000億ドル)の課税率が10%から25%に上げられないように、そして最大規模とされる第4弾(2670億ドル)が実施されないように米国側に歩み寄ろうとするであろう。

 王毅国務委員兼外相は会談後記者団に対して「両国首脳は友好的で率直な雰囲気の中で2時間半にわたって深い交流を行った。予定していた時間を大幅に上回った。貿易問題に関する議論は前向きで、建設的だった。今回の会談で得た合意は、今後一定期間における中米関係に方向性を示した」と語った。