北朝鮮もロシアも中国も中東も、米国との「距離感」が国際関係を決めている北朝鮮もロシアも中国も中東も、米国との「距離感」が国際関係を決めている 写真:ユニフォトプレス

 今回は、ドナルド・トランプ大統領の「米国第一主義(アメリカファースト)」を振り返る。2018年は、トランプ大統領の一挙手一投足に世界が振り回され続けた1年だった。そして、そこから見えてくるのは、米国が、従来の地政学的な枠組みでは説明できない、「新しい国際秩序」を着々と築いてきたということだ。

新しい国際秩序を考えるには
従来の地政学を超えた新たな理論が必要だ

 この連載では、従来の地政学を超えた「4D地政学」という新しい概念を打ち出してきた(本連載第155回)。

米国との「距離感」で国際秩序が決まる、新たな時代が始まったニコラス・スパイクマン『Macedonian Academy of Sciences and Arts』より

 従来の地政学では、米国は「New World(以下、新世界)」と呼ばれ、ヨーロッパからもアジアからも直接攻撃されない離れた位置にあることで、政治的・軍事的に圧倒的な優位性を持ってきた。だが、現在の国際社会は、これでは説明できなくなっている。なぜなら、ミサイル攻撃やサイバー攻撃の技術が飛躍的に向上し、米国を直接攻めようとする国家などが登場しているからだ。米国が「新世界」ではないことを説明する新しい枠組が必要となる。