2000万円をホストに貢ぐも
別の女性と結婚されてしまった

 しかし、いくらホストに貢いだところで、ホストが自分の彼氏になってくれるわけではない。「お金で買う愛情」に対して、自身の体を犠牲にすることをホス狂いの人はどう感じているのだろうか。

鈴木涼美氏の著書「オンナの値段」(講談社)

「ホス狂い専門の掲示板など見ていても、仕事のことで病んでいる女の子はたくさんいます。好きな人に必要とされたい、ホストを独り占めしたい、という理由で、見知らぬおじさんのナニをくわえて稼ぐ、というのは精神的負担が大きいものです」

 こうしたストレスのはけ口としてホスト通いが加熱し、さらに金遣いが荒くなるという悪循環が発生するのだ。

 ホス狂いの中には、ホストと同棲して両親にまで会わせたのに、全てが「営業」だったことが発覚し、ストレスで10キロ痩せてしまった女性や、大阪に出稼ぎに行ってまで貢いだのに報われず、最後は自殺してしまった女性など、悲しい結末を迎えてしまうケースも少なくない。

 これまでさまざまなホス狂いを観察してきた鈴木氏が、最も印象的だったのはどんな女性だったのか?

「印象的だったのは、有名ホストのために連日ソープに出勤して、稼いだ額から自分の生活費5000円を抜いた上で、ホストクラブの受付に毎日お金を預けていた女性。入店するとお金を使ってしまうから、受付で預けるだけなんです。それを半年近く続けて、たまった2000万円を一気にイベントで使っていました。すごく美人な女性でしたよ。ただ、そこまでしたのに、相手のカリスマホストは別の女性と結婚しちゃいましたけどね」

 はた目から見れば、ただのホストと金ヅルの客である。しかし、単にだましだまされている、というほどホストと客の関係は単純ではないようだ。

「ホストも正直、この人はだます、この子は本当の彼女、と完全に分けて考えられているかというと、微妙だと思います。8年ホストと客という関係を続けた末に、最初は金ヅルでしかなかった女の子と結婚したホストもいます」

 こうした恋愛感情を利用したホストの営業を、俗に「色恋営業」という。さらに女性にお金を使わせるために「本命の彼女」と偽って営業することを「本営」と呼ぶ。ただ、こうした色恋を絡めた営業を、同じく水商売に身を置く女性が本気にするとは考えにくい。それでもホストに狂ってしまうのは、一体なぜなのか?

「ホス狂いは自分で自覚がある場合がほとんどなんです。どんな高額を使っても、愛は手に入るようなものではない。逆に愛があるなら、本来はお金なんて1円も払わなくてもいい、ということはわかっている。ただ、本物の彼女として彼に愛される、ということは努力とは無関係なところで決まるものだけど、少なくともお金を使えば、彼に必要としてもらえる。使えば使うほど、彼にとってある意味、かけがえのない存在になれる、という利点はあるわけです」