ゴーン再々逮捕で「負けられない戦争」に踏み込んだ検察の誤算と勝算写真:ユニフォトプレス

 カルロス・ゴーン日産自動車前会長らが有価証券報告書虚偽記載の疑いで電撃逮捕されてから1ヵ月余り。

 東京地検特捜部は、12月21日、私的な損失を日産に付け替え、日産に損害を与えたなどとする新たな会社法違反(特別背任)の疑いでゴーン氏を再々逮捕した。

 世界が注目する検察の捜査は「市場に対する裏切り」の摘発から「会社の私物化」の実態解明へと舞台を移した。

 事件の背景には「フランス政府・ルノー」vs.「検察・日産」の図式が浮かんでおり、「国の威信にかけても絶対に負けられない」という検察側の事情も透けて見える。

勾留延長「却下」の翌日
「会社の私物化」で逮捕

 東京地裁が、検察側の意表をつく決定をしたことが、事態の急転をもたらした。東京地検が有価証券報告書の虚偽記載容疑で逮捕、勾留したゴーン氏らについて、さらに10日間の勾留延長を今月20日に東京地裁に求めたところ、地裁は請求を却下した。これは検察にとって想定外の出来事だった。