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5月23日 17時0分
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国債の格付けをどう考えるか〜日本国債格下げの影響〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・昨日(5月22日)大手格付け会社フィッチレーティングスは、日本国債の格付けを引き下げて「シングルAプラス」にしたと発表した。日本の財政赤字や国債発行が増え、日本国債の信用力が下がっているとの「格付け評価」である。

・この発表直後、ロンドン時間においてドル円相場は円安で反応し、NY時間でも80円付近まで円安が進んだ(グラフ参照)。なお、2011年1月にS&P社が、同年8月にムーディーズ社が、同様に日本国債の格下げを行っている。S&P社の格下げ直後、ドル円は80銭ほど円安が進んだが、その効果は1日程度しか持続しなかった。今回も同様の結果となりそうだ。


・格付け機関による国債の信用力の判断については様々な見方があるが、それが実際に、先進国の為替・金利などの市場価格に影響するケースは多くない。2011年8月に米国債の格付けが引き下げられ、市場心理は冷え込んだが、その後起きたことは米国債の価格上昇(金利低下)という反対の場合もある。

・格付け機関の「国債」に対する信用力格付けが、影響を及ぼすことが少ない一つの理由として、その判断が、企業の信用力と似ている基準で行われていることが挙げられる。具体的には、債務残高や利払い費の規模・方向を定量的な材料として、それに政治状況などの定性的事象を加味し、格付けを「総合判断」しているとされる。

・個別企業の場合は、社債などの信用力には、売上に対する借入金や利払い比率が影響し、統計的にそれらと社債不履行率には関係がある。ただ、「国」が発行する国債は、債務残高の規模などだけで信用力は同様に判断できない。国家はそれが永続的に存続することが前提となっており、最終的に将来の徴税権が担保になる。それ故「債務不履行」となる状況は、企業と全く異なるからだ。

・また言うまでもないが、「国債」の市場における位置付けは特殊で、日本のように安定的に国内貯蓄から国債への投資が続き、また米国債のように海外からファイナンスで安定的に支えられる構図もある。そして近年、南欧諸国の債務持続性が問題になっているのは、通貨ユーロ体制存続への疑念という別の問題が根幹にある。

・このため、金融政策と財政政策などの裁量政策を使える、独立した国である日本や米国などの信用力は、南欧諸国とは大きく異なる。ただ日本の場合は、金融政策による安定化策が機能せず、デフレと低成長の結果公的債務が増えている。今回の格下げの真の理由はこれかもしれない。



(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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