金委員長は非核化に向けた具体的な条件、コミットメントを示すことなく、米国から体制維持の保証を取り付けることができた。同委員長にとって今後の課題は、米国と交渉を行いやすい状況を作ることだ。米国との貿易戦争が激化する中で、中国も北朝鮮への庇護(ひご)を強めるだろう。北朝鮮は中国と連携し、米国との交渉に臨めばよい。金委員長にとって、韓国との関係強化に動く必要は大きく低下したと考えられる。

 文大統領は経済政策の失敗や北朝鮮政策の行き詰まりへの批判をかわすために、わが国に対してさまざまな要求を突きつけ始めた。その姿勢を見ていると、対日批判を飛び越して、日本軽視の考えがかなり強くなっている。「日本には何を言っても構わない」との立場をとることで、文政権は自らの優位性を誇示し、有権者の不満を解消できると考えているのだろう。

 その1つが、韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金に対して、元徴用工への賠償を命じたことだ。韓国の裁判所が、韓国内で新日鉄住金の保有する資産差し押さえの強制執行に踏み切る可能性も浮上している。1965年の日韓請求権協定など政府間の合意に基づいて冷静に議論を進めようとする姿勢が韓国には感じられない。

 韓国の駆逐艦が日本の哨戒機に火器管制レーダーを照射した問題に関して、専門家の間では、日本の哨戒機の飛行に問題があったとは考えられないとの指摘が多い。一方、韓国政府は自国の行動を省みることはせず、日本に謝罪を要求している。

 この対応を見ると、「日本には何をしてもよい」という韓国の一方的な発想はかなり強いと言わざるを得ない。韓国の対日軽視姿勢と一方的な批判は今後も強まる可能性がある。その中で、わが国が文政権に事実関係の確認を求め、対話による問題解決を目指すことは難しいだろう。