ドタバタ経理部に蔓延する「人手不足だから仕方ない」という思い込み経営に直結する業務が多い経理部での人手不足は深刻だが、実は人手不足以外の理由で「ドタバタ経理部」になっているケースも多いのだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

ドタバタ経理部、
でも本当に「人手不足」なのか

 職場での「人手不足」が声高に叫ばれるようになって久しいです。企業の多くは、定年制度を見直して年齢を引き上げたり、外国人労働者を受け入れたりして、改善策を講じているようです。しかし経理部の場合は、間接部門としてくくられていることもあり、たとえ欠員が生じたとしても、部署がよほど多忙でひっ迫している、新事業を複数立ち上げるなどの大がかりな計画がない限り、補充の決断が後回しにされがちです。

 しかしながら、月末や決算期になり、スタッフクラスは遅くまで残業することが当たり前、マネジャークラスも諦めモードといった状態が続くと、やがて部員らは疲弊し、生産性が上がらないことを当然視してしまい、経営管理を担う部署としての経理は機能不全に陥るはずです。

 今回は、こうした事態を回避するため、人手不足感のある経理部について徹底的な見直し策を考えていきます。

「もちろん、上司にも相談していますよ……。それでもやることが多すぎるので、人員補充ができないのであれば、残業でカバーするしかないでしょう」

 ため息交じりでこのように現状を語るのは、中堅サービス業の経理部主任Aさん(30代女性)です。彼女のセリフに共感しながら頷く方も多いのではないでしょうか。

 Aさんは現在の経理部に勤務して10年。3年前に主任に昇格し、現在は上司とも相談しながら業務改善を進めていますが、部員の産休育休で欠員が生じたり、新事業の企画が重なったりしたことで、1人当たりの業務量が多くなったとのこと。欠員が生じた上に新事業の企画発足が重なれば、予算策定などの場面で尽力しなければならない経理部は、通常業務の遅滞を避けるため、残業の常態化を余儀なくされるかもしれません。

 ただ気になるのは、Aさんの上司である課長がどのようなスタンスでAさんの相談事に乗り、具体的にどんなマネジメントを図っているのかという点です。Aさんの実情は理解できますが、上司である課長は何かしらの工夫を施して効率よく進められる方法を検討したり、他部署も視野に入れた業務分担を図ったりと、具体的な行動をとっているのでしょうか。