経済格差をめぐる誤解、原因は移民や安い輸入品ではなかったPhoto by Keiko Hitomi

 2019年も年初から「米国第一」を掲げるトランプ政策で振り回されることになりそうだ。

 1月には日米物品貿易協定(TAG)交渉が始まり、また、米国が25%追加関税実施の期限を3月末に延期して「一時停止」状態にある米中貿易戦争も、中国側の改善努力が足りないと米国が判断すれば、さらなる泥沼に入り込む可能性がある。

トランプ大統領は
IT化の「真実」語らず

 トランプ大統領は、米国人の失業や中流層の賃金低下による所得層の二極化、いわゆる経済格差が拡大した原因は、流入する移民や中国などから輸入される安い製品が米国人の雇用を奪っているからだと主張している。

 それで移民の流入を防ぐためにメキシコ国境に「壁」を作り、一方で中国などには貿易不均衡を迫って強硬な姿勢を続けている。

 だが、これは政治的な意図を持った宣伝に過ぎず、経済格差の発生原因はそこにはない。