[上海/サンフランシスコ 4日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>にとって、今年の中国事業は厳しいものとなりそうだ。主力製品のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の裁判所による販売差し止め措置や米中の通商紛争の先行き不透明感に加え、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]や韓国のサムスン電子<005930.KS>など競合相手より遅れている第5世代(5G)ネットワーク対応機種の導入など、課題が山積しているためだ。

ティム・クック最高経営責任者(CEO)は投資家に対し、米中の通商摩擦で中国経済が予想以上に減速したことが中国での業績低迷の主因だと説明した。

だが、中国の消費者はロイターに対し、ネックになっているのはアップル製品の高い価格だと指摘する。

アナリストらは、ファーウェイなどが競合製品を割安価格で販売したり、中国の景気減速や米中通商紛争を背景に愛国心が高まっていることなど、アップルには逆風が吹いていると指摘。中国の裁判所は、アイフォーンの中国での販売を差し止める仮処分も決定。「6S」から「X」までの機種が対象となる。

カウンターポイント社の調査担当ニール・シャー氏は、アイフォーンの市場シェアは今年7%にまで低下する可能性があると予想、「アップルにとって厳しい局面だ」と述べた。アップルの昨年第3・四半期のシェアは約9%。15年には15%前後だったが、ファーウェイや「OPPO(オッポ)」など競合他社に奪われ低下した。

アップルの5Gネットワーク戦略についても疑問が付きまとう。アップルは2020年まで5G対応機種を販売しない見通しで、ファーウェイや小米科技(シャオミ)<1810.HK>などライバル勢に後れを取ることになる。中国は2020年には5Gの本格商用運用を目指すなど力を入れており、ファーウェイは今年半ば、シャオミは第3・四半期、サムスンは上半期には対応機種を導入するとみられている。

だが業界関係者によると、アップルは5G対応機種の導入を2020年秋まで見合わせる見通し。当初の試運転時期を避けるためとみられるが、中国の消費者はアイフォーン購入を先送りするか、他のメーカーに乗り換える事態となる可能性がある。

ただ、ベイン&カンパニーのパートナー、ダリン・ロウ氏は、高機能機種に5G技術を搭載するには新しい複合アンテナなど大幅な設計変更が必要となるため、急ぎすぎるとリスクもある、と指摘する。2019年当初は5Gネットワークのサービス対象が一部地域に限定されていることを踏まえると、ネットワークが十分に整備される前の段階で設計変更に踏み切るリスクは、実利に見合わないという。

アナリストや消費者の間では、5Gに対するアップルの慎重な姿勢は理にかなっており、販売が遅くなっても競合相手と比べそれほど不利になるわけではないとの声も聞かれる。

アップルは4G対応機種も他のメーカーより遅れて販売したが、影響はなかった。シンクロノス・テクノロジーズのグレン・ルーリーCEOは、当時は利用者が2年ごとに機種を買い替えるのが当たり前だったが、今は買い替えまでの期間も延び、消費者がより「未来対応型」の機種を求めるようになっているかもしれないと語った。

北京の学生、Li Hongzhuo氏(22)は「5Gが問題なく一定期間、安定的に運用されるか、4Gの運用が中止されるまで、機種変更は考えない」と述べ、5Gは購入の判断材料ではなく、十分に試験運用されるまで待つと話した。

(Josh Horwitz and Stephen Nellis記者)