平成30年間で服装は
“重厚”から“軽薄”へ

 ユニクロが平成のあいだに挑んだ、他の機能性ウェアの大衆化も振り返ってみよう。平成15年には機能性インナーとして「ヒートテック」を発売。3年後の平成18年に従来のポリウレタンとポリエステルの糸に、レーヨンとマイクロアクリルを加えて現在の原型となり、より着心地が良くなったことで大ヒットした。平成25年には保温性を約1.5倍にした「極暖ヒートテック」、平成28年にさらに約1.5倍にした「超極暖ヒートテック」を投入。シリーズ累計10億枚を超える人気商品となり、日本人の下着に革新をもたらした。

 一方、機能性アウターで定着したのが、平成21年に発売した「ウルトラライトダウン」だ。安価で軽く、温かい新アイテムは、高価で重々しかった従来のダウンジャケットのイメージを覆し、老若男女を問わず、定番化が進んだ。平成28年には薄手で軽量の男性用ベストタイプも展開し、ジャケットやコートの下にインナーとして使う、新たな着こなしも広まっている。

 結果、特に冬場の街中で若者の服装は変貌を遂げた。ひと昔前は「ババシャツ」と言われ敬遠された肌着も、ヒートテックに変わることで若者が抵抗なく着るようになり、軽くておしゃれなフリースやダウンジャケットも普及。平成初期、重ね着をして重さに耐えながら外出していたのに比べ、平成の終盤となった今は、街着が圧倒的に軽量化され、“重厚”から“軽薄”へと突き進んだ。

 ユニクロの調べによると、同程度の衣服内の温かな温度を保つのに、平成元年の着こなしでは衣服の総重量が約2.5kgだったのに対し、平成30年は約1.2kgと半分以下になった。「我慢せず、快適な着心地でファッションを楽しめるようになったことが、平成の間に大きく変わった点」と、渡辺氏は指摘する。