奈良時代から平安時代にかけては、神饌《しんせん》として神様に供えられる神聖な魚とされながら、江戸時代には獲れすぎるあまり下魚扱いされつつも、他の下魚、例えば鰯や鮪や秋刀魚や河豚などと違い、将軍の食膳に上がることもあったという稀有な魚です。

鯵の焦がし味噌汁
【材料】鯵…1尾/片栗粉…小さじ1/卵白…1/2個分/味噌…大さじ2/熱湯…2.5カップ(500ml)/あさつき…5本
【作り方】①鯵は三枚におろして皮を剥き、庖丁で細かく叩いて片栗粉と卵白を加えて混ぜる。あさつきは小口切りにする。②鍋を中火にかけて熱し、鍋肌に味噌を塗りつけ、味噌が少し焦げるまで加熱する。③2に熱湯を注いで味噌を溶かし、鯵を加えて中火にかけ、鯵が浮いてきたら火を止めて椀に盛り、あさつきを散らす。

 鯵の場合は「夕鯵《ゆうあじ》」といって、夕漁があったため、鮮度の心配がなかったことも、禁止されなかった要因の一つでしょう。

 まだ明るい夏の宵に、鯵を桶に入れ、棒手振《ぼてふり》が売り歩く――。

鯵のたたき
【材料】鯵(刺身用)…1尾/わけぎ…2本/茗荷…1本/大葉…2枚/おろし生姜…一つまみ/醤油…適量
【作り方】①鯵は3枚におろして皮を剥き、2~3mm幅に切る。②わけぎ、茗荷、大葉、新生姜は細かく刻む。③器に盛り、いただく時に醤油を加え、全部を混ぜる。

 冷蔵庫がない時代でも、江戸っ子は晩酌時に、生の刺身やたたきを楽しむことができたわけです。

 また、獲れたての鯵や小鰭《こはだ》を酢〆にした「当座鮓《とうざずし》」を売り歩く呼び声、「鮓や、鯵のすぅ、小鰭のすぅ」も、夏の風物詩のひとつでした。

鯵の酢〆
【材料】鯵(刺身用)…2尾/塩…適量/酢…大さじ2
【作り方】①鯵は3枚におろし、両面に塩を振って30分程度置く。②1に酢をまわしかけて1時間以上置く。③鯵の皮を剥いて切りこみを入れ、食べやすい大きさに切る。お好みで醤油を添えて。