鯵の種類は多々あります。

 正徳2年(1712年)刊行の『和漢三才図会』には、真鯵《まあじ》、室鯵《むろあじ》、棘高鯵《いらだかあじ》、目高鯵《めだかあじ》、島鯵《しまあじ》、滅托鯵《めったくあじ》といった表記があります。

 鯵の分類上の特徴は、「ぜいご」と呼ばれる稜鱗《りょうりん》があること。

 現在では、鯵と言えばほとんど真鯵のことですが、伊豆諸島の特産品である「クサヤの干物」は、室鯵で作られます。

 生ではあまりおいしくない室鯵も、干物にすれば独特の風味が生まれます。

鯵の干物
【材料】鯵…数尾/水…500ml/塩…大さじ1
【作り方】①鯵は腹から開き、エラ、内臓、血合いを取り、塩水(分量外)でよく洗う。②水に塩を溶かして漬け汁を作り、1を1時間程度漬ける(脂が多く、大きい鯵は長めに)。③2の水気を切り、干し網に入れて、天日で1時間程度干した後、風通しの良い日陰で半日干す。④初めは皮を下にし、中火でじっくり両面を焼く。

 クサヤの干物は江戸時代から有名で、これは伊豆諸島の年貢が、米ではなく塩だったことに由来します。

 水が足りず、米が作れなかった伊豆諸島では、海水を煮詰めて塩を作っていました。

 干物を作るのに、その大事な塩で作った漬け汁を簡単に捨ててしまうわけにはいかず、何度も使いまわすうちにいい具合に発酵して、独特の腐臭を放ちつつも癖になる干物が出来上がったというわけです。

 もちろん、通常の天日干しの鯵も美味しいものです。

 生の鯵を塩焼きにしたものより好物、という方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

 元禄8年(1695年)発行の『本朝食鑑』に、「鯵は駿州・豆州(現静岡県)、房州・総州(現千葉県)で獲れるものが最も美味」「漁村では常に干物にしている」とあるため、江戸時代前期のこの頃すでに、干物が生産されていたことが分かります。

鯵の鱈子和え
【材料】鯵(刺身用)…中1尾/たらこ…50g/九条ねぎ…3本/塩…少々/酢…適量
【作り方】①鯵は3枚におろして皮を剥き、両面に塩を振って10分程度置いたら酢をサッとくぐらせ、一口大に切る。②たらこは皮を割いて庖丁の背で卵をしごき出す。九条ねぎは洗って根を切り、熱湯で1分茹で、冷水にさらして絞り、3cmの長さに切る。③鯵と九条ねぎをたらこで和える。
【器提供】リバリスランド