供給体制の変更に伴い製品輸送距離が延びたため、吉松社長が指摘するように、輸送費のコスト増も痛い。まさに業績は、危険水域の「赤信号」(コカBJH)であり、ライバルメーカーとのシェア争いでも劣勢に立たされることになる。

 だがコカBJHの業績悪化は、こうした天災の不運だけではない。市場環境の構造的な変化に対応し切れていないことにも原因がある。

 コカBJHの強みは、自動販売機市場のシェアの高さにある(図2)。しかも自販機は全て自社保有であり、店舗販売より格段に利益率が高い。

 日本で自販機が広く普及したきっかけは、1964年の東京オリンピックのころに当時の国鉄が券売機を導入し、100円硬貨が大量に流通したことにあるとされるが、2度目の東京五輪開催を控えた今、自販機を取り巻く状況は厳しさを増している。

 飲料総研によると、17年の自販機1台当たりの清涼飲料の販売量は前年比1%減だった。この5年で6%減っており、今後も減少は続く見通しだ。より安く買うことができるドラッグストアやコンビニエンスストアなどとの競争は激しい。

 コカBJHとしては、収益性の高い自販機ビジネスは是が非でも立て直したい。てこ入れ策の一環として18年11月に都内限定で始めたのが、小規模オフィス向け飲料提供の新サービス「コーク・ミニ」の展開だ。

 国内には従業員数10人以上30人未満の事業所が88万社以上存在し、1400万人もの人がそこで働いているとされる。コカBJHはこの需要に着目し、自販機を設置する場所が取れない小規模オフィスでも、コーク・ミニの小型機材を使って飲料購入を可能とした。

 また支払い手段として、スマートフォンのアプリによるQRコード決済を採用。「LINEペイ」と「楽天ペイ」のうち希望する決済手段を選択し、製品のQRコードを読み込めば支払い完了だ。完全キャッシュレス化し、現金の管理が不要となる。