お酒を飲むサラリーマンPhoto:PIXTA

『週刊ダイヤモンド』1月12日号の第一特集は「変わります!ニッポンの『酒』」です。日本の酒市場は縮小の一途をたどっています。その背景には、人口減少や消費者の嗜好の多様化などの環境変化があります。さらに、ビール類の酒税統一、ワイン輸入関税撤廃、RTDという新たな主役の登場など、市場環境は激変しています。お酒を飲めば飲むほど、酔えば酔うほどろれつが回らなくなるのはどうしてでしょうか?お酒に強い、弱いはどう決まるのでしょうか?「酔い」のメカニズムを科学で解明すると、アルコールは、私たちの体や脳にこんな影響を与えていました。(本記事は特集からの抜粋です)

 お酒を飲むと、気付かぬうちにしゃべり声が大きくなったり、同じ話を繰り返したりする。さらにはふらふらと千鳥足となり、どうやって家にたどり着いたか記憶をなくしてしまっていたりする。

 なぜ、そうなってしまうのか。翌日、二日酔いで頭が痛くなるのはどうしてなのか。「酔い」のメカニズムを科学してみよう。

 身もふたもない表現だが、酔いとは「脳のまひ」に他ならない。

 お酒を飲むと、その20%が胃で、残る大部分は小腸で吸収される。吸収されて血液に溶け込んだアルコールは肝臓に運ばれ、分解処理に回される。このプロセスは後で詳述しよう。

 ただし、すぐに分解できるわけではないので、血液のアルコールの多くは心臓を経由して、全身を巡ることになる。飲んだアルコールが脳に到達するまでには、数十分以上かかるのが普通だ。