米国シリコンバレーと言えば、いくつもの世界的企業を輩出した地域としてよく知られている。実際、世界中の有望な人材とベンチャーキャピタリストがそこに集まっていた。ただ、「クリエイティブ・クラス」の研究で著名なリチャード・フロリダによると、地理的な視点から分析した結果、スタートアップとイノベーションを取り巻くかつての常識が覆り始めているという。本記事では、データをもとに4つの大きな変化が示される。


 ハイテク系のイノベーションやスタートアップの多くは、シリコンバレー、シアトル、ニューヨークといった米国の豊かなエコシステムで生まれ、そこに集積している――我々はそう考えてしまいがちである。しかし、米国経済が持つ創造的側面の多くがグローバルなものになっているように、ハイテク系スタートアップもいまや、グローバルに存在している。

 上海や北京、ムンバイやバンガロール、そしてロンドン、ベルリン、ストックホルム、トロント、テルアビブに至るまで、世界各地のスタートアップのエコシステムはここ10年ほどで劇的に成長した。米国の多くの都市、たとえばサンフランシスコ・ベイエリア、ニューヨーク、ボストン、ロサンゼルスなどは、いまだ国際的な存在感があるが、世界の他の都市も急速に勢いを増している。