蜜月は続くのか?
日本企業によぎるお役御免の不安

 一方、経産省にも確固たる目的がある。これまで、日本の航空機産業はボーイングと機体の共同開発を行うことで発展してきた。電動化は航空機の技術トレンドを根底から覆す恐れすらあるが、それでも日本企業がボーイングにとって不可欠な存在であり続けるため、国を挙げての一手に出たというわけだ。

 ただし、しかるべきメリットを適切に享受するべく、念には念を入れた。「ボーイングは協力分野において、ボーイングの将来の航空機輸送に関する戦略的ビジョンの情報を提供するとともに、技術の実用化に向け取り組む」――。今回、経産省はこの内容の一文を合意の中に盛り込ませているのだ。

 特に最近は、日本とボーイングの蜜月関係に亀裂が入りかねない不穏な状況が生じている。例えば、ボーイングによる内製化回帰の動きである。ボーイングは、ボーイング787型機(B787)で三菱重工に任せた主翼の製造を、20年から投入を始めるB777Xでは自社に戻しているのだ。

 さらにボーイングは18年、リージョナルジェット大手のブラジル・エンブラエルと戦略的パートナーシップの構築に向けて合意した。これにより、「ボーイングがエンブラエルに機体製造を担わせるようになる恐れが否めなくなった」(別の航空機業界関係者)。

 どちらも、Tier1(1次下請け)としてボーイングに貢献してきた日本勢の、お役御免の危機である。経産省には、この合意をボーイングの開発戦略における“真意”をうかがう糸口にしようという思惑もある。

 経産省は百戦錬磨のボーイングを相手に、日本の航空機産業の持続的発展という“果実”を勝ち取ることができるだろうか。