組織でリーダーを選ぶ際、常に堂々と振る舞い、揺るぎない意思を持つ人材が候補になりがちである。だが多くの研究が示すように、優れたリーダーの資質はそれと真逆である。創造力と柔軟性を兼ね備え、何事にも自分なりの意見を持ちながら、間違っていればその考えをすぐ変えられるような人間である。本記事では、自分の現状を正しく認識するための評価方法を示したうえで、そうしたリーダーに変わるための具体的な行動が提示される。


 ベンジャミン・フランクリンは、自分が賢いこと、それも周囲のほとんど誰よりも賢いことを承知していた。しかし、万事において自分が正しいわけではないと理解するだけの、知性も持ち合わせていた。

 ゆえに、反論するときには必ず「私が間違っているかもしれないが……」と前置きして話を始めた。このフレーズは相手を安心させ、意見の相違が相手への個人攻撃だと勘違いされないための一助となった。また彼自身にとっても、新しいアイデアを受け入れる心の準備に役立つ言葉であった。

 歴史を見ると、政界もビジネス界も、ストイックで予測可能で毅然としたリーダーを選びがちだ。だが研究によれば、本当に必要なリーダーシップは、真逆の性質によって特徴づけられる。すなわち、創造力と柔軟性である。フランクリンのような人が必要なのだ。賢くて意思が強く、素晴らしい行動を取るよう周囲を説得でき、かつ人とは違う考え方を持ち、自分が間違っていた場合にはそれを認め、変化の激しい状況に適応できる柔軟な人材である。

 手法や考え方を変えることは難しいが、創造的破壊が差し迫るいまの時代には、それをできることが重要となる。一般に、この種の認識の柔軟性を「開放性」と呼ぶ。社会の分断が進むなか、企業やコミュニティの存亡は、議会でも経営においても、リーダーたちがこの柔軟性を持てるかどうかにかかっているだろう。