部下の成長のために、上司は部下の何を誉めるべきか写真はイメージです Photo:PIXTA

拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べた。この第62回の講義では、「技術」に焦点を当て、拙著『人は、誰もが「多重人格」 − 誰も語らなかった「才能開花の技法」』(光文社新書)において述べたテーマを取り上げよう。

才能の本質は、人格である

 前回(「なぜ、一流のプロは『演じる』のが上手いのか」)で、「才能の本質は、人格」であるということを述べた。

 それゆえ、「自分の中には、すべての人格が隠れている」と思い定めることは、「自分の中には、すべての才能が隠れている」と思い定めることと、同じことでもある。

 逆に、「自分の人格は、これだけだ」と思ってしまうことは、「自分の才能は、これだけだ」と思ってしまうことと同じであり、その結果、我々の心の中には、「自己限定の深層意識」が生まれてしまい、「才能の開花」を抑えてしまうことになる。

 しかし、「自分の中には、すべての人格が隠れている」と思い定めたとしても、現実には、それだけで、日常の仕事や生活において「表に出ていない人格」が表に出てくるわけではない。

 では、どうすれば、我々の中に隠れている「表に出ていない人格」を、表に出すことができるのか。そして、その「人格」をうまく活用できるのか。

 そのための技法はいくつもあるが、実は、「表に出したい人格」が、どのレベルの「隠れた人格」かによって、技法の難しさが違ってくる。

「隠れた人格」にレベルがあると述べると、驚かれる読者がいるかもしれないが、実践的な技法の観点から分類すれば、「隠れた人格」には、「三つのレベル」がある。