サムスンが曲面ディスプレイを始めたら、それに追随する。アップルが有機ELを採用したら追随する。アップルがイヤホン端子を廃止したら追随する。中国メーカーが複数レンズのカメラ機能を搭載したら追随する――。かつて、ユニークなアイデアを次々と実現し、「アップルを倒せるスマホメーカーがあるとしたらソニーだけ」と言われてきたソニーの面影はない。

 ソニーの全社戦略との整合性もちぐはぐだ。ウォークマンやヘッドフォンなどのオーディオ事業は、ハイレゾでいい音を聴かせるという共通のテーマの下で、さまざまな商品がユーザーの支持を受けている。しかしXperiaは、楽曲管理ソフトの配布を終了したり、イヤホン端子をなくしたりするなど、せっかくのオーディオメーカーとしての強みを自ら放棄しているようにも見える。

 業界がそういう傾向だからだとしても、それはソニーにやってほしいことではないのではないか。むしろ、業界の方向性と異なる新機軸を打ち出し、トライアンドエラーをやってほしいのがソニーだと思うユーザーも多いだろう。

 少し話が脱線するが、楽曲管理ソフトは、かつてプレイステーション、エレクトロニクス、モバイルで共通のプラットフォームをつくっていたときのもので、プレイステーションの戦略変更の煽りを受けたかもしれないにせよ、代替案がないという状況はお粗末だろう。

今の「Xperia」はつまらないが
ソニーにとって非常に大切な事業

 話を戻すと、今のXperiaはつまらないということである。とはいえ、モバイル事業は2つの意味で非常に大切な事業だ。

 1つは、5Gの通信プラットフォーム開発に最も近い事業であり、5Gのための技術蓄積をする部門であるからだ。5Gになれば、スマホに何でもやらせるのではなく、各機器に5Gの通信機能が搭載され、もう一度スマホからさまざまな機能が専用機に戻るという時代が来るかもしれないし、ソニーとしてはそうしたいだろう。

 一例を挙げれば、新しい「AIBO」は魂がクラウドにあるという。かつてのAIBOはスタンドアローンで個々の機器の中で完結して動作をしていたが、現在のAIBOはLTEで通信を行いながら、クラウド上でAIBOの動作のアルゴリズムが計算されている。こうした通信を行いながら動作する商品カテゴリーがもっと増えるのが5Gの時代だろう。