Anna Mehler Paperny

[トロント 22日 ロイター] - カナダ当局が昨年12月に逮捕した中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の孟晩舟(メン・ワンツォウ)副会長兼最高財務責任者(CFO)について、米司法省は22日、カナダ側に身柄の引き渡しを求める方針を明らかにした。

米司法省の報道官は声明で「孟氏の身柄引き渡しを引き続き求めるとともに、米・カナダ犯罪人引き渡し条約が定める全期日を順守していく」として、法執行に向けカナダ側の協力を要請した。

ファーウェイ創業者、任正非(レン・ツェンフェイ)最高経営責任者(CEO)の娘でもある。孟CFOは、米国の対イラン制裁回避に関連する不正行為に関わった疑いで、米捜査当局の要請によりバンクーバーで逮捕された。

46歳の孟氏は、今後の公判日程を決めるため、2月6日にバンクーバーの裁判所に出廷する予定だ。

カナダ当局が身柄引き渡しの手続きを進めれば、中国との関係が一段と悪化するのは確実とみられる。中国は同CFOの逮捕後、カナダ人2人を拘束。麻薬の密輸で有罪判決を受けていたカナダ人には死刑を宣告した。

中国外務省報道官は22日、定例会見で、同CFOの即時釈放を改めて要求。公正な判断をする人であれば、誰もがカナダが「深刻な過ち」を犯したと考えるだろうと述べた。身柄が引き渡されれば、米国に報復するのかとの質問には「中国は当然、米国の措置に対応する」と発言。詳細には踏み込まなかった。

同CFOを巡り、今後予想される動きについてまとめた。

●身柄引き渡しに必要な手続きとは何か

カナダが容疑者の身柄引き渡し協定を結んでいる国からの仮令状の提出によって、手続きが始まる。請求国は最初の逮捕から60日以内に正式な請求を行う。

法相は請求の受け取りから30日以内に手続き開始の是非を判断する。法相は手続きの開始を認める見通しで、その後はブリティッシュコロンビア州最高裁判所が孟氏の身柄の引き渡しを審理する。

●次に何が起きるか

州最高裁の審理には数週間から数カ月かかる。裁判官は、証拠が有罪とするのに十分であるかなど、一応の基準を満たしているかを判断することになる。

裁判官が米国の証拠は十分だと判断すれば、法相に身柄の引き渡しを勧告。法相が引き渡しを命令する。

孟氏は、裁判所の引き渡し勧告や法相の引き渡し命令に不服を申し立てることができるが、裁判が何年にも及ぶ可能性があると弁護士はロイターに語った。

●法相は手続き期限を延長できるか

バンクーバーの法律専門家、ブロック・マートランド氏によると、法相には手続きの期間延長を求める権限はない。孟氏の案件は注目度が高く、法相は既定通りに手続きを進めることを望みそうだという。

●どんな点が考慮されるのか

マートランド氏によると、法相は判断に当たり、法的な要因はもちろん、米国の拘置所での扱いなど人道面の要因や政治情勢も考慮に入れるとみられる。

引き渡す相手国に対する強い義務感に支配される傾向があると同氏は指摘。また、「手続きは正しく行われているか、手続きの公正さはあるべき姿かについて、法相が懸念を抱くかもしれないケースもあると思う」と同氏は語った。

トランプ米大統領は昨年12月、安全保障と米中通商協議進展に資するなら、同案件に介入するとの考えを示した。

「時の経過とともに新たな事実が明るみとなり、検察の手続きに不備があることが明らかとなった場合、法相は引き渡し命令を撤回する可能性がある」とマートランド氏は言う。

●米国側はどう調整するのか

米国の連邦および州の検察当局は、外国の捜査当局に対して容疑者の逮捕や身柄の引き渡しを求めることができない。こうした要請は司法省の刑事局国際室(OIA)を通じて行われ、そこで次のステップに向けて海外の当局と連携を続ける。

OIAは外国当局との窓口となり、逮捕や引き渡しに向けた次の手続きを担当する。

*内容を追加しました。