「そもそも、子どもが放っておいても自分で自分の行動にブレーキをかけることができるのなら、“教育”はいらないはず。携帯電話を使えば、子どもが利口になるというのは間違った考え」と下田教授は強調する。

 こうした規制論に対しては「子どもの自由」を奪うものとの批判もあるが、同じく規制派の尾木氏は「おとなの自由と子どもの自由はまったく違う。子どもに認めるべき自由は、子どもの心身の発達を保証したうえでの自由だ。発達を阻害するものを使う自由を認めるべきではない」と反論する。

 規制の1つとしては、子どもに有害情報を見させないフィルタリングという機能の利用がある。携帯電話やネットの利用者が、フィルタリングサービスを導入すると、出会い系サイト、違法サイトなどの有害サービスにアクセスしたり、「人の殺し方」と書かれているようなページを見ることができなくなる。

 2006年12月以降、未成年者の名義で携帯電話を契約する場合、フィルタリングサービス導入の有無を親が意思表示しなければ加入できなくなった。そのため、2006年9月末に63万件だった携帯電話のフィルタリングサービス利用者は、2007年9月末には210万件にまで増加した。監督官庁の総務省も、いっそうの強化と普及を携帯電話通信各社に求めている。

 ネットスターは携帯電話通信会社やネット系企業にフィルタリングサービスを提供している大手だ。

 同社は国内最大のリサーチセンターを持ち、常時35人程度が365日、ネットの監視をしている。有害と思われるサイトをすべて肉眼で確認し、データベースに登録していく。いわば、親や教師に代わり、子どもを有害情報から守る番人ともいえる。

 しかし、そのフィルタリングも決して、万能とはいえない。