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5月29日 17時0分
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「硬直的な労働慣行」がデフレの犯人? - 村上尚己「エコノミックレポート」

・日本がデフレに陥ってから約20年経過しているが、それをどう解釈するかについては様々な見方がある。余りに長きに亘りデフレが続いているためか、それが「日本特有の構造問題」であるという考えも根強いようである。

・実際に、「構造問題」が何を指しているかは識者によって異なる。ただ、変えることができない「構造的事象」が、日本のデフレと低成長をもたらしている、という考えはかなり人気があるようだ。そうすると、デフレ脱却のためには、金融緩和だけではなく、成長戦略(?)などで経済構造を変えなければいけない、という議論になる。

・そうした論調の中で、昔から度々指摘され、最近もメディアでよく見かけるようになったのが、「硬直的な労働慣行」がデフレをもたらしているという考えである。「米国と比べて、日本の労働慣行は硬直的。企業は雇用維持を優先させるため、賃金下落圧力が強まる」。だから、日本の硬直的な労働慣行が、デフレをもたらしているという考えである。これが本当なら日本の労働慣行を変えれば、賃金下落圧力が弱まり脱デフレにつながる、ということになる。

・突っ込みどころが満載な議論だが、そもそも日本の労働慣行が硬直的という認識は妥当なのだろうか?「労働慣行」とは曖昧だが、米国では、企業の都合で解雇が頻繁に行われ、日本もそうした状況に近づくべきという問題意識だろう。とすれば、デフレに陥っているのは日本だけだが、日本は労働慣行が相当硬直的で、国際的に解雇が難しく労働者が保護されている国ということになる。

・この点の国際比較は簡単ではないが、OECDが解雇規制手続きの煩雑さなどから作成した「雇用保護指数」(2008年)がある。これをみると、正社員などの常用雇用で日本の雇用者は、米国と比べれば解雇されにくいが、他の国より雇用が保護されているわけではない(グラフ参照)。また、派遣労働者などの「有期雇用」については、むしろ日本は解雇が容易に行われる国である。国際比較の観点から日本の労働慣行が特殊で、硬直的とは言い難い。



・先進国中で、ずっとデフレに陥っているのは平均的な労働慣行をもつ日本だけである。労働慣行が、デフレの要因になっているというのは診断ミスではないか(なお、現政権が労働市場の規制強化を進めている是非についてはここでは触れない)

・総需要不足、それに密接に関連している金融緩和の不徹底が原因というのが、やはりオーソドックスなデフレに対する理解だろう。その本質を逸らす議論が、最近多くなっているようにみえるのはなぜだろうか?


(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)

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