芳沢光雄氏と佐藤優氏Photo by Yoshihisa Wada

『週刊ダイヤモンド』2月9日号の第1特集は「文系でも怖くない ビジネス数学」です。三角関数に指数・対数、二次方程式。中学校・高校の数学で登場したややこしい数式や記号を見ると、今もむしずが走る文系ビジネスマンは少なくないでしょう。ですが、ビジネス、企業内のさまざまな問題を解決するには「数学で考える」ことが大きな武器になります。本誌連載「知を磨く読書」でおなじみの佐藤優氏が、その著書を高く評価する数学者、芳沢光雄氏を招き、これからの必須教養・数学と数学教育の現状をめぐって議論を交わした後編をお届けします。(本記事は特集からの抜粋です)

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芳沢 大学の入試がマークシート式になってしまっているが故に、プロセスが分からなくてもやり方、暗記だけで答えが出るから何とかなる。だから、流れというかプロセスを理解しようという気持ちに欠けているんだ、と私は思う。このままでは日本は取り残されちゃうんじゃないか。

佐藤 要するに、日本は発展途上国の教育システムなんですね。記憶力と情報処理能力が中心のキャッチアップ型の教育がそのまま続いてしまっている。

 その結果、たぶん日本と韓国だけだと思うんですが、勉強が嫌いな大学生が異常に多い。一方で、目的合理的に受験テクニックを極める受験産業が異常に発達している。これはなかなか大変です。

芳沢 全体の流れをつかむこと、プロセスをきちんと理解することが大事なのは、さまざまな科目に共通しています。

 先の『新体系・高校数学の教科書(上・下)』を書いたのも、数学の教科書が何のポリシーもなくてバラバラになってしまったからです。それはまずいと、一つの大きな流れを示したかった。