サガンの正GKから日本代表の守護神へ

 森保ジャパンが船出して2戦目となる、10月12日のパナマ代表とのキリンチャレンジカップ2018。先発フル出場して3-0の完封勝利に貢献した権田だったが、ザッケローニ元監督から将来性を高く評価された時の自分に戻った、という表現には思わず苦笑いを浮かべている。

「戻ってきたというよりは、あの頃よりも上手くなっていたい、という思いがある。サッカーができなかった時期もちょっとありましたけど、その後はしっかりとトレーニングを積み、試合にも数多く出てきた中で、FC東京にいた時を上回っているという感覚を持ちたい。戻るとなるとあの頃がピークで、一度マイナスになったのがゼロになる、という感じなので」

 昨シーズンのサガンは前半戦で泥沼の7連敗を喫するなど、最終節まで熾烈なJ1残留争いに巻き込まれた。権田にとっては2009シーズン以来となる修羅場であり、この時はFC東京をJ1残留に導くことができなかった。しかし、8年前とは違う部分があると力を込めたことがある。

「あの時は自分たちの試合が終わったら、すぐに他のチームの試合結果をチェックしていたことが、チーム全体としてよくなかった。今はシンプルに『勝ち点40を積み重ねないと残留できない』と、みんなにも常に言っている。他のチームがどうこうよりも、まずは自分たちに対してモチベーションを持っていかなければいけない」

 人事を尽くして天命を待つ、となるだろうか。どん底を味わわされた日々で特にメンタルを磨き上げた権田の思いが言霊となる形で、サガンは最後の5試合で3勝2分けとV字回復。勝ち点41で5チームが並ぶ未曾有の大混戦で、得失点差で14位に踏ん張って残留を果たした。

 魂をすり減らす戦いが続いた中で、権田は全34試合、3060分にフルタイム出場。終盤戦ではチームの危機を救う、鬼気迫るファインセーブを連発し、チームメイトによる投票で選出されるMVPに輝いた。その過程で日本代表への復帰を果たし、アジアカップで6試合に渡って先発を勝ち取った。