出勤する人々Photo:PIXTA

 毎月勤労統計の不正調査が発覚、賃金の正確なデータがわからなくなってしまった中で、野党が実質賃金のデータを計算し直したところ、2018年の多くの時点で伸び率がマイナスになり、厚生労働省もそれを認めたと報道された。

 そしてこれが新たなデータ偽装問題であるかのように言われることがある。

 しかし、どのデータが適切かは、議論の余地がある。それに、「実質賃金の伸びは、あるデータで見ると高いが、別のデータで見ると低い」ということではない。

 問題は、どのデータで見ても、実質賃金は下落していることだ。この原因を見極め、経済政策を転換することこそ重要だ。

賃金で「4つのデータ」
どのデータが正しいのか

 まず、今回の賃金統計問題で何が論議になっているかを説明しよう。